チュニジアの風景(6)イブン・ハルドゥーン像

チュニジア生まれのイブン・ハルドゥーン。

言わずと知れた、不朽の名著『歴史序説』の著者。

ブルギバ広場の、時計塔とは逆の端に、銅像が建っています。

イブン・ハルドゥーン像1

『歴史序説』は歴史学者(東大寺管長でもあった)の森本公誠氏による名訳が岩波文庫に入っている・・・・

と書いたところで調べたら、なんと、品切れ・・・・

いくらなんでもひどいんじゃないかと思いますよ。

アマゾンで品切れになっているだけでなく、岩波ブックサーチャーでもはっきり品切れと出ています。絶版かどうかはっきりさせていませんが、入手不能ということです。

最近、まともな本、今読むべき本が、ことごとく品切れあるいは絶版であることに気づき、本当に日本の出版界はダメになったな、と痛感するのだが、イブン・ハルドゥーン『歴史序説』なんて、「日本人はイスラームを知らない」とか説教する意識高い系出版人たちなら、当然品切れなんてさせちゃいけないはずの本ですが。適当な本を乱造する前に、すでにあるまともな本を流通させなさい。

もちろん、『歴史序説』の英訳本は、常に、英語圏で簡単に手に入ります。本屋にも売っているし、アマゾンですぐに買える。

ということは、これからは日本人は『歴史序説』を読みたければアラビア語で読めなければ英語で読むしかなくなるのか。途上国ではそれが当たり前です。自国語ではまともな本が手に入らないから、知識人・エリートは英語で読むようになる。一般人向けとされる低劣な書物が現地語では行き渡る。陰謀論とかそういう類の本ばかりになる。

もうなってるか日本でも。

日本語の言論空間は、出版社が低レベルの本を短期間に売る競争を繰り返すうちに、先進国とは言えないものになってきたことを痛感しました。

おしまい。