チュニジアの危険度引き上げ

7月10日、日本の外務省が、チュニジアの危険情報を引き上げました。

チュニジア渡航延期勧告2015年7月10日
(7月10日の最新の危険情報)

《なお、外務省のホームページはPCで見ている時にスクロールしにくいので、改善の余地ありですね。マウスを画面内のどこに置いていてもスクロールすれば下まで見られるようにしてほしい。急いで見る時に操作に手間取る》

イギリス外務省も観光客にチュニジア全土に「どうしてもという場合以外の渡航取りやめ」を要請し、トマス・クックなど主要旅行代理店が今夏の予約受付を停止し既存ツアーもキャンセル、現地からの引き上げ便を手配して旅程の途中で顧客を帰国させているようです。

英国民の退避の様子を伝えるBBCの記事にはチュニジア危険情報の略図があります

チュニジア危険情報英外務省7月9日

英国務省の危険情報ホームページ(チュニジアの項)ではより詳細です。

チュニジア危険情報英国無償HP2015年7月9日

日本外務省と地理的にはほぼ同じ塗り分けですね。渡航回避の緊急性の度合いについては異なるものさしであるようですが。

6月26日のテロの直後は、「テロに屈しない、生活様式を変えない」という原則を示していた英国も、チュニジアの治安当局がテロを防ぎきれない、という情報判断をした模様です。これは治安当局の能力の限界もあると同時に、多くのジハード主義者が隣国リビアあるいはイラク・シリアから帰還しているということをおそらく意味しているものと思います。これはかなり由々しき事態です。

今回の日本外務省の危険度評価引き上げを3月のバルドー博物館襲撃の時点での日本外務省の危険情報と比べてみてください。

チュニジア危険情報地図(小・広域地図ボタン付き)
(今年3月の時点のもの)

違いは、これまでは西部のカスリーン県と南部の国境地帯以外のチュニジアの主要部は第一段階の「十分注意」(黄色)だった(ただし3月のバルドー博物館へのテロを受けて首都チュニスが第二段階「渡航の是非を検討してください」に急遽引き上げられていた)のが、7月10日の危険度引き上げで、チュニジア全土が第二段階になり、カスリーン県と国境地帯は従来通り第三段階の「渡航の延期をお勧めします」になったこと。

ただ、カスリーン県の南のガフサは、しょっちゅう掃討作戦をやっているので、カスリーン県並みにもう一段階危険度を上げてもいいんじゃないかとも思うが。ガフサ県を含む散発的に掃討作戦が行われている県については列挙して注意喚起はされているが。大きな県なので全体が危険ということはない。

チュニジアは戦争をやっているわけではないので、最終の第四段階の退避勧告(赤色)になっているエリアはない。

しかしいざテロや掃討作戦が起これば、その瞬間その場所は危険になることは間違いない。問題はいつどこでそういう状態になるかが、攻撃する側が場所を選べるテロという性質上、定かでないことだ。

こうなると、仕事で行くなら十分に注意して、時期と場所を慎重に選んで、かつ一定のリスクを覚悟して行くしかないが、不要不急の観光は避けましょう、ということにならざるを得ない。

外務省のリスク情報の読み方については上記地図を転載した3月のこの記事を参照してください。