【コメント】日本経済新聞に、イスラエルの民間防衛と軍民関係について

コメントが掲載されました。

「自衛隊ノウハウ、民間に提供急務 米・イスラエルに例」『日本経済新聞』2020年4月29日朝刊

イスラエルの新型コロナ問題への対策と、そこにおける軍の役割、軍民関係についての政治的・歴史的背景など。ごく一般的なことをお話ししてあります。

記事の中から、私自身のコメントとして引用された部分と、その前後の文脈を、下記に貼り付けておきます。

【イスラエルは香港のディープ・ナレッジ・ベンチャーズ社がまとめた12日時点の新型コロナを巡る安全評価で世界トップとなった。特に「政府管理の効率性」などの評価が高い。

市民生活が紛争やテロと隣り合わせのイスラエルは軍だけではなく「民間防衛」を徹底する。平時から軍や治安当局が民間に情報共有し、危機対応のノウハウを伝えて有事に備える。

テロなどの攻撃を速報で通知するアプリが広く普及し、情報周知のルートもある。各家庭に危機管理のマニュアルを配っている。

中東政治が専門の池内恵東大教授は「日常生活の中で非常時に対応する習慣がついている」と語る。今回の新型コロナ対策でも、自宅での隔離が迅速に周知されたという。軍と関係の深いホテルもすみやかに検疫施設として機能した。

「軍事目的で開発された技術の民生への応用が迅速で、軍民の区別は明確ではない」(池内氏)

紛争下にあるイスラエルの軍と民間のあり方を日本に適用するのは本来は難しい。今後は新型感染症の脅威が「新常態」となるともいわれている。民間にも危機対応のノウハウを蓄積していく努力は求められる。】

【寄稿】『中東レビュー』にイスラエル・中国関係のここ数年の動きを

日本貿易振興機構アジア経済研究所の中東研究学術誌『中東レビュー』に、短めの論文が掲載されました。

企業や経済官庁にて戦略的・実務的な関心も高い、イスラエルと中国の関係について、近年のイスラエル側の政策的な動きをまとめました。

池内恵「イスラエル・中国関係の発展と対米関係の緊張」『中東レビュー』 第7 巻, 2020年3月, pp. 29-33.

DOI: https://doi.org/10.24765/merev.Vol.7_Rep07

【寄稿】【無料公開】『外交』3/4月号に中東の国際秩序について

外交専門誌『外交』の3/4月号が刊行されました。

今回は中東特集で、そこにインタビューに基づく論稿を寄稿しました。

今回は新型コロナ禍で図書館や大学など、この雑誌が置かれる場所の多くが閉鎖されているため、編集部が思い切って全論文のインターネット公開に踏み切りました。「外交web」に掲載されており、無料で閲覧、ダウンロードできます。

池内恵「エスカレーションから一転 『奇妙な安定』へ」『外交』Vol.60, pp. 24-31.

年初のイラクでのイランの革命防衛隊スレイマーニー司令官の米軍による暗殺を機に高まった緊張を背景にした中東特集ですが、その後コロナ問題が浮上し、それについても緊急に冒頭でいくつもの論稿が掲載されており、即応性も高いものになっています。

ぜひこの機会にご一読ください。

【寄稿】仏FRSのウェブサイトに中東秩序に関する総論を

2月28日に、パリのFRS(Fondation pour la recherche stratégique)を訪問して講演やインタビューを受けましたが、FRSのヴァレリー・ニケ先生が私の議論のエッセンスをQ&Aスタイルで簡潔にまとめてくださいました。FRSのウェブサイトに掲載されています。

記事へのダイレクトリンクはこちらから。

【お知らせ】2020年度の講義の開講時期と方法について(2020年6月26日更新)

【2020年6月26日掲載】東京大学教養学部教養学科の地域文化研究アジア・日本研究で開講する集中講義「特殊研究演習IV」及び東京大学教養学部の「専門英語(100)」に参加を希望する学生は、UTASに掲載されているメールアドレスに連絡してください。授業内容の詳細、参加者に配分される課題、日程と開講形式について連絡します。日程は受講生の希望も取り入れつつ柔軟に設定します。3週間に渡り13回の授業(そのうち10回程度はオンライン)を実施します。今回は例年とは異なりSセメスターでの開講のため、2年生は参加登録をできませんが、希望者は単位を伴わない参加を許可することがあります。演習形式で、英語で最新の中東政治に関する専門書を、手分けしてできるだけ多くの冊数を読みます。

【2020年4月5日追記】先端学際工学専攻で4月から新規開講する「グローバルセキュリティと宗教」のオンライン授業へのアクセスのためのURLはすでにUTASに記載してあります。当日の授業開始時間にUTASへのアクセスが集中して遅くなる可能性がありますので、履修希望者は、前もって余裕のある時間帯にUTASにアクセスし、URLをコピーしておき、当日の授業時間にアクセスしてください。駒場Iや本郷キャンパス所属の大学院生も履修できます。

【2020年4月1日追記】固定ページ「講義情報」に列挙された令和2年度の授業の受講を希望する学生は、UTAS等を参照し、参加方法を確認してください。少なくとも4−5月は全面的にオンライン授業を行う(=物理的には一度も集まらない)ことが決定しています。

4・5月のS1タームに小泉悠特任助教と共同で開講する、先端学際工学専攻の「グローバルセキュリティと宗教」は、今年度からの新しい開講科目です。工学系研究科や先端学際工学専攻の所属学生に限らず、グローバルセキュリティや国際関係・地域研究に関心を持つ広い範囲の学生を対象とし、多くの書物を読み遠隔で議論する演習として開講します。

キャンパス間移動を必要としないオンライン授業の特性を積極的に生かして、研究科を横断した演習を目指します。単位は大学院修士・博士課程学生のみに付与されますが、学部学生で単位取得を伴わない参加を希望する学生は、しかるべき手段を用いて申し出てください。

【2020年3月24日】新型コロナ問題を受け、2020年度の講義の開講時期と、授業を行う手段が流動的になっています。私の講義を受ける希望を持つ東京大学の学生や非常勤で出講予定の大学の学生は、それぞれの所属する大学のオンラインの履修システム・学習支援システムを通じて、情報を得てください。

なお、私の2020年度の授業は、海外での広範囲な調査研究活動拠点形成の任務と両立させるために、ほぼ全てを集中講義とすることが、新型コロナ問題が顕在化する以前に決定していました。そのことからも、2020年度の授業の時期と形式は流動的です。

以前から、電子的な媒体でのテキストの配布や、参加者によるレジュメの電子的な共有・相互参照などを取り入れて、遠隔的に演習や講義を行う試みを行なってきており、今年度はそれらをより大幅に活用することになりそうです。

また、国を超えた移動の自由が大幅に制限されているからこそ、インターネットなどを通じて、海外の大学・研究機関などとも連動した授業を実験的に行う可能性があります。興味のある学生は積極的に参加してください。

集中講義のため、他の講義との時間帯の重なりも危惧されますが、遠隔講義の特性を活用して、より大きな効果を上げることを目指します。

参加希望者は、各大学の公式の情報に注目していただきたいのですが、場合によっては、講義についての最新の情報を、この個人ウェブサイトの固定ページ「講義情報」に掲載することもありえますので、適宜参照してください。

『新しい地政学』が刊行されました

東洋経済新報社から、北岡伸一・細谷雄一編『新しい地政学』が刊行されました。

単行本はこちらから

Kindle版はこちらから

この本の第8章として、下記の論文を寄稿しています。

池内恵「『非国家主体』の台頭と『地域大国』––––中東と地政学」北岡伸一・細谷雄一編『新しい地政学』東洋経済新報社, 2020年3月12日, 343−363頁

この論文では、中東という地域概念と地政学との不可分の繋がりを概観しました。古典的な地政学論者であるアルフレッド・セイヤー・マハンが用いることで「中東」という語が広まり定着したといった、中東専門業界ではよく知られていながら、その外では、国際政治学の業界でもそれほど知られていない事実を指摘し、「チョークポイント」といった地政学上の基本概念によって規定される中東・イスラーム世界の国際政治上の重要性を論じました。

『新しい地政学』は、サントリー文化財団が2015年から、北岡伸一国際協力機構理事長を代表に開催してきた調査研究活動「新しい地政学の時代における国際秩序を考える研究会」の成果です。

サントリー文化財団の、文化・学術事業に理解の深い、経験の厚い役職員の皆様からは、ほとんど総出でこの研究会に多大なご支援を頂き、途中にはウラジオストックでの国際会議も行って、今回の成果刊行に漕ぎ着けることができました。まことに感慨深いものがあります。

【講演】パリの戦略研究財団(FRS)で、中東の新秩序と日欧のFOIPについて

弾丸出張で、実質1日だけパリに来て、講演や面会やインタビューをこなしました。主要な目的は、戦略研究財団(Fondation pour la recherche stratégique: FRS)での2月28日の午前の講演 と、昼にかけてのインタビューでした。

FRSのヴァレリー・ニケ先生に講演の機会を設定していただき、モデレーターとなっていただきました。

講演についてのFRSのウェブサイトでの事前の紹介はこちらから。

【掲載】『公研』2月号の米イラン関係をめぐる座談会

『公研』2020年2月号誌上の座談会に、グローバルセキュリティ・宗教分野の小泉悠特任助教と共に参加しました。

田中浩一郎・池内恵・小泉悠「米イラン危機から見えてきた新しい戦争のかたち」『公研』2020年2月号

【コメント】『日本経済新聞』に「100年後の学問」をめぐる対談の記録が

日経新聞のウェブサイトと紙の紙面の両方に、先月東大で行われた公開対話についての記事が掲載されました(内容はほぼ同一ですが、先に掲載されたウェブサイトのものが若干長めです。いずれもインターネットで読めます)。

「100年後の学問どうなる? 東大と京大の教授が議論」『日本経済新聞』(電子版)2020年2月6日

「100年後の学問 東大教授らが議論」『日本経済新聞』2020年2月15日付夕刊

この記事では、『アステイオン』第91号の「可能性としての未来––100年後の日本」特集号の刊行を記念して、2020年1月24日に東京大学の駒場キャンパスでサントリー文化財団と刊行元のCCCメディアハウスが主催し、東京大学生協駒場書籍部が協賛して開催された刊行記念講演会 「100年後の学問と大学」を取材し、その内容を紹介していただいています。

【コメント】トランプ「世紀のディール」について

『日経ビジネス』のオンライン版に、コメントが掲載されました。

『日経ビジネス』の森永輔副編集長から、研究室で取材を受け、下記のインタビュー記事にまとめられて、掲載されました。

森永輔「親イスラエルの中東和平案、陰の主役はサウジ皇太子」『日経ビジネス』(オンライン)2020年1月31日

【寄稿】『中東協力センターニュース』1月号に、東地中海地域におけるトルコとイスラエルの競合について

『中東協力センターニュース』2020年1月号に、トルコのリビア内戦介入の最新の動きを取り上げ、その文脈となるトルコ・イスラエルの東地中海地域における競合・対立、そこで焦点となる東地中海ガス田・パイプライン計画について、相互の連関と将来の見通しについて分析しました。

池内恵「トルコのリビア内戦介入と東地中海地域のエネルギー国際政治」『中東協力センターニュース』2020年1月号(1月22日発行), 10-16頁 【論文PDFへのリンク

【コメント】日経ビジネス・オンラインにゴーン事件とレバノンについて

『日経ビジネス』のオンライン版に、ごく短いコメントが掲載されました。

電話で取材を受け、発言が下記の記事の中に言及されています。

菊池貴之「強気のゴーン氏 『安住の地』レバノンで何を語る」『日経ビジネス』(オンライン)2020年1月8日

【寄稿】『アステイオン』91号の特集「可能性としての未来––100年後の日本」に

サントリー文化財団・アステイオン編集委員会が編集する『アステイオン』第91号の総力特集「可能性としての未来––100年後の日本」にエッセーを寄稿しました。

池内恵「100年後に記された『長い21世紀』の歴史」『アステイオン』第91号(2019年12月12日刊行)

【掲載】『公研』10月号に先端研セキュリティー・セミナーの講演・質疑応答が

『公研』2019年10月号に、下記の講演録と座談会・質疑応答が掲載されました。

武内宏樹・黒川淳二・池内恵「喧騒の時代の日米中関係 テキサスからの視点」『公研』2019年10月号, 84-103頁

これは2019年7月18日に、先端研グローバルセキュリティ・宗教分野の事業として開催した「RCAST Security Seminar #16 米中貿易戦争と日本」として行われた武内宏樹先生の講演と、黒川氏との質疑応答、池内を交えた議論、さらに会場の参加者との質疑応答が、加筆修正の上、掲載されたものです。

RCAST Security Seminarは2018年6月以来、先端研の池内研究室が運営している先端研の公式行事です。英語を共通語とし、各界のテーマに関連する研究者と実務家の、原則として招待者のみが参加者する場です(この個人ブログでは原則として告知していません)。

この回は、サザンメソジスト大学准教授の武内宏樹先生とJETROでヒューストン事務所長を経験した黒川淳二氏をお招きし、試験的に日本語で開催して、より広い範囲の参加者を集めることを試みました。また、他の回では「チャタムハウス・ルール」を原則としており、セミナーでの発表や発言については発言者が分かる形で言及しないルールを課してきましたが、今回は例外的に『公研』編集部に参加していただき、講義・質疑応答を記事としてまとめていただきました。

記事の冒頭では、セミナーの当日の冒頭に私が行なった「先端研セキュリティ・セミナー(RCAST Security Seminar)」についての趣旨説明も掲載していただいています。

『公研』は一般には書店でも定期購読でも販売されておりませんが、官庁や企業やメディアといった契約・送付先で非常に熱心に読まれ、情報源とされている手応えがあります。これまで池内は個人として『公研』に寄稿を依頼され、様々な原稿を寄せてきましたが、今回はグローバルセキュリティ・宗教分野の活動でのコラボレーションを試みました。

RCAST Security Seminarを新たな聴衆に開き、東大とJETROと『公研』が産官学を横断して連携する試みが、このように形をなったことを喜び、また感謝しております。