【書評】webRonzaに『サイクス=ピコ協定』の書評(記録メモ)

『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』への書評をこのブログで記録しておきたいのですが、採録できていないものが多くあります。少し前のものですが、ここでメモしておきます。

木村剛久「[書評]『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』」webRonza、2016年7月14日

ウェブロンザは有料サイトですが、これは無料で読めるようです。「神保町の匠」というコーナーで、三省堂とタイアップしているようです。

非常に丹念に内容を紹介してくださっています。木村さんはこの本の紹介にとどまらず、第一次世界大戦後の戦後の秩序形勢という文脈で、柳田國男が国際連盟の委任統治委員会として提出した英文報告書の内容を引いて、読者にさらなる興味・関心を掻き立ててくれています。

【書評】『望星』で『サイクス=ピコ協定』について

もう一本、じっくり読み込んで書評していただいていたのを、ちょっと遅くなりましたが、紹介します。

丸山純「中東の過去と現在を見通してイスラームとの共生を探る」『望星』2016年12月号(通巻571号)、東海教育研究所、2016年12月1日発行、104−107頁

『望声』は東海教育研究所が発行、東海大学出版部から発売されている。丸山さんは「デジタルエディター」の方です。この雑誌の「忙中本あり 閑中本あり」という書評連載で取り上げてくださっています。

『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』を読み込み、そこで紹介した映画『アラビアのロレンス』を改めて観て、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)についても言及があります。

私の本に触れた上で、常岡浩介さんの『イスラム国とは何か』(旬報社)桜木武史さんの『シリア 戦場からの声』(アルファベータブックス)などに手を伸ばす、というところが、いいですね。

【書評】『サイクス=ピコ協定』が『歴史と地理 世界史の研究』(山川出版社)で書評

まず、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』の7刷が決定しました!

少部数ずつ小刻みの増刷ですから、累計しても「ベストセラー」というほどの数ではありませんが、刊行から一年あまり、ずっと売れ続けているのは素晴らしいことです。

ずっと紹介したいと思っていたのですが、教育の現場や、ジャーナリストの下調べの段階で、この本が丁寧に読まれ、懇切に書評を書いてくださっている場合が方々にあります。このブログではそれらをまとめて一覧できるようにしておきたいのですが、どうしても手が回りません。気づいたものを急ぎメモしておきます。

近年の教科書は、歴史学で一つ一つの事実を確定する手続きの末生まれた学説を取り入れることにはかなり熱心なのですが(そこで聖徳太子の歴史事実としての記述が消えたりして政治的に物議を醸したりする=個人的には「聖徳太子信仰」は歴史上の重要な事実なので、どのように神話が生まれて影響を持ってきたかを客観的に教える素材としては大変いいと思うのですが、そのような「事実ではないかもしれないが政治的に重要であり続けてきた話」を扱うというのは初中等教育では難しいのかもしれません)、歴史をどう捉えたらいいのかという解釈を見いだすことがいっそう困難になっているようです。

もちろんかつてはマルクス主義のような、目的論的で、終末論的でさえあるストーリーが広く信じられていたため、それに沿って歴史を描けば、とりあえず分かりやすく、さらに、なんとなく勧善懲悪論とも似通っているため、理解しやすく、教えやすかったと思うのですが、そのような時代は終わってしまって、かつ統一的な価値観がなくなっていって、世界史を教える時に方向性を示すことが難しくなっているのが現状でしょう。

歴史の流れ、個々の事象のより大きな枠の中での意味づけという、原史料だけからは出てこないものについて、ある程度の根拠のある形で提示してくれる書物が求められているにもかかわらず、「ちゃんとした研究者」として認められるプロセスの中で、そのようなストーリーを示すことは、それほど重視されていない(場合によってはそんなことをしていると不利になる)ため、あまり書かれることがない。逆に、大胆に「俺の世界史」みたいなものが著名人によって描かれてベストセラーになる傾向もありますが、そういった本は、面白いですが、根拠が不明で、賞味期限も短い。

また、学会で支配的なグランドセオリーのようなものに従って全体の筋書きを描いてしまうと、一部の一方的な見方に偏ってしまったり、学会の世代交代でがらっと変わってしまったりする。教育現場で世界史になんらかのストーリーをつけて教えること自体が、難しくなっているのかもしれません。

『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』は、中東の近代史の事実の群に、それなりに普遍性のある意味づけを行う手がかりを示すことを意図した本で、それが私の「主張」に見える部分もあるのでしょうが、「客観的にこのように見ることもできますよ」と言える概念をいくつか提示している。そこを着実に読み取ってもらっている様子があります。

山本勝次『歴史と地理』第701号・世界史の研究(250)、山川出版社、2017年2月、69頁

「中東をめぐる近現代史が、国際関係を中心に教科書とは違った枠組みで整理されている」とこの本を意味づけて、「本書を読みながら、多くの場面で世界史の意外な関係性に気づかされた」と書いてくださっています。また、「本書の分析視覚を通して、中東情勢を歴史的にとらえることができるようになるだけでなく、二○世紀世界史を俯瞰することも可能にしてくれる」という評価は、まさに私がこの本で意図したことを正面から認めてくださっていて、嬉しいです。

書評を書いてくださった山本先生は、東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭とのこと。

歴史を事実や年号の「暗記もの」ではなく、概念を使ってとらえるという教え方をしてもらえる生徒は、大変幸運ではないでしょうか。

『日経新聞』で紹介(記録メモ)

昨日の日経新聞への寄稿をPDFデータで手元に残しておこうと日経テレコンを検索したところ、昨年12月にも『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』について取り上げていただいていたようです。時事問題に関係する本を紹介する「読むヒント」というコーナーで、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』を中心に、『イスラーム国の衝撃』も併せて言及してくださっています。書き手は松尾博文編集委員。学部時代の先生の中村廣治郎先生の著作と一緒に紹介してくださっているのがありがたいですね。

「「イスラム国」の実態は――中東の構造変化が背景、民衆の不満吸収し成長(読むヒント)」日本経済新聞2016年12月5日

【寄稿】『日経新聞』経済教室にシリアの化学兵器使用と米の空爆について

寄稿しました。

池内恵「米国のシリア攻撃、展望は――米政策の不可測性に長短、強い指導力発揮は望めず(経済教室)」『日本経済新聞』2017年4月18日

過去の日経新聞への寄稿については、このエントリでまとめてあります

【講演】五月祭で軍事史サークル主催にて

東京大学の五月祭で講演をします。

東大戦史研というサークルの主催です。

演題:「グローバル・ジハード――組織なき組織の動員と戦略」
講演者:池内恵(東京大学・先端科学技術研究センター・准教授)
開催日:2017年5月20日(土)
会場:東京大学本郷キャンパス工学部2号館211号講義室
開場:10:50
開演:11:00
終了予定時刻:13:15

参加するには、ウェブサイトのフォーマットから申し込みが必要です。

個人的には全く縁のないサークルですが、おそらく、依頼を受けた経緯は次の通り。昨年の五月祭では小泉悠さんが同じ枠で講演をするという情報がSNSで回って来て、私はそのころ小泉さんに学会や雑誌特集号など複数の依頼をしていた関係から、勉強させてもらおうと出かけていきました。

非常に多くの聴衆が詰めかけていて、また、小泉さんの話ぶりは非常に巧みで内容も深く、私自身も地域研究者としても、いろいろ興味をそそらせるところが多く、楽しめました。モスクワのエレベーターのボックスに座っているおばちゃんの話が特に面白かったですね。

私は立ち見で後ろにいただけだったのですが、何かの具合にで面が割れ、それで依頼を受けたのだと思う。

私は軍事史に詳しくないので、軍事に興味がある方々の関心に会うものはできませんよ、ということをお伝えしてお断りしようとしたのだけれども、それでもいいというので、最近考えているグローバル・ジハード論のあれこれをお話しすることにしました。

軍事そのものに強い関心がある、という人にはちょっと物足りないかもしれませんが、社会学とか国際関係論などに興味がある人にも参考になるところがあるようにしようかと思います。

【寄稿】先端研30周年ウェブサイトでイスラーム教と脳の関係を

このブログではお久しぶりです。新年度になってしまいました。3月は半ばにポーランド・ワルシャワ、そして月末から4月初冬にかけて、年度またぎでジブチとイスタンブールに現地調査に行って来ました。帰国直後から、新学期の複数の授業の立ち上げを行い、シリア化学兵器使用と米国による対アサド政権の空爆について情報を集めるなどしておりました。

通知が遅れてしまいましたが、先端研30周年の特設ウェブサイト上で、同僚の高橋宏知先生と退団しました。准教授を中心に行う「未来論」対談の第一回。

高橋宏知・池内恵「イスラームの宗教と脳の機能は交差する。」対話する未来論・先端研30周年

「脳科学」というと、一般メディアで異様に重宝されることがあり、実証性の乏しい疑似科学や、スピリチュアル系の偽薬みたいなものが多いですが、高橋先生のやっているのは神経工学によるゴリゴリのエンジニアリングというところが、新味のあるところと思います。

キーワードは「言語」です。

【寄稿】伊奈久喜さんの追悼文を『公研』に

日経新聞の記者で、外交コラムで著名だった伊奈久喜さんが昨年4月に亡くなりましたが、今年の1月に追悼の会が開かれたのをきっかけに、追悼文を書いてみました。『公研』2月号に掲載されています。

池内恵「伊奈久喜さんとの2時間」『公研』2017年2月号(第642号), 12-15頁

「めいん・すとりいと」という『公研』の巻頭のエッセー欄には、定期的に依頼を受けて寄稿してきましたが(以前は他の執筆者とものすごく年齢が離れていたのですが、最近、世代交代が進み、多くの同世代の研究者が寄稿するようになっています)、今回もこの枠へのご依頼に対して寄稿したものです。ただし、追悼文ということもあり、言葉を尽くして書くうちに、長大なものになってしまい、通常は見開き2頁のところを、例外的に、おそらくこのコーナー始まって以来初の、4頁の紙幅ををいただいて、なんとか収めました。

『公研』への寄稿は、この雑誌が会員企業のみに送付される、ウェブで全く公開していない雑誌であるため、ご興味を持った方が編集部に問い合わせをしたりすると、対応しきれないと思いまして、このブログでは通常はお知らせしていません

ただ、最近、編集側では、刊行から一定期間を経れば、著者による公開を許可する方針を定めたとのことですので、将来は告知をより頻繁に行い、ウェブ上での公開も考えたいと思います。

ただし、今回は、追悼文という性質からも、ウェブで公開することがふさわしいのかどうか私も判断がつきかねておりますので、当面は公開を見合わせておきます。

おそらく、私が公の場で書いた、初めての追悼文です。

【追記:掲載誌をおそるおそる読んでみたところ、一点、不正確な記述を発見しました。伊奈さんがワシントンで所属したのは「ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院」の「外交政策研究所」であるところが、これを無意識に足し合わせたように「ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究所」と記してしまっておりました。また、14頁の上の段「サウジとイランの対立はどこまで対立しているのか」は→「サウジとイランの対立はどこまで緊迫しているのか」ですね。あと、「偲ぶ会」の冒頭に行われたのは「乾杯」ではなく「献杯」なのか形式としては。私の書く初めての追悼文ということで緊張して、ミスが出ています。なにしろ名うての文章家の伊奈さんへの追悼文ですから、上手に書いて見せないといけません。そして合格点になる程度には上手く書けたと内心自負していたのですが、やはり内心の動揺は隠せない。細部に気が及ばなくなるのですね。伊奈さんに見られたら、ささっと「朱を入れ」られるでしょう・・・】

2017年度の学会報告予定

行政的には2016年度がそろそろ終わる時期で、報告書や予算・決算書類作成、必要証票を揃えるので忙しくしていますが、来週末にも、東欧にちょっと行って学会発表をしたり、そして年度末には、マイレージを利用して、将来面白そうなテーマに今のうちに探りを入れるべく、某大陸に踏み入ってきたりします。

しかし新年度の学会発表の依頼を次々に受け、いずれも興味深いand/or断りにくい方面からのご依頼のため次々にお引受けてしていたら年間を通してスケジュールが埋まってしまっている模様です。自分が入っている学会での報告も考えなければならないのに、依頼に応えるだけで精一杯になっている状態です。なんとかならないのか。

考えてみますと、昨年・一昨年度は、日本国際政治学会で企画委員をやっていたので、もっぱら企画し、依頼し、お世話する側の仕事をしていました(一部、例外的に企画委員でかつ登壇したこともありましたが)。企画委員の任期が終わったタイミングでいろいろ依頼が来て、お引き受けしていたところ、何が何だか分からなくなって来たので、ちょっと整理しています。

これ以外に、非公開の研究会や会員のみに向けた報告・講演の依頼が多く入っており、またその間に海外での研究発表に行くことがあるので、実際には来年度の週末はすでにほとんど埋まってしまっているような状態です。

肝心の、自分が入っている学会での自発的な報告を企画・応募する余裕がなさそうなのが、なんとなく気になります。そろそろ生活を変えないといけないのかもしれませんね。しかしまあこれらのご依頼はいずれも私の研究の成果を発表したり、今行なっている研究を発展させる機会になってくれそうなものなので、頑張って対応したら私のためになりそうです。

自分への備忘録も兼ねて、ある程度公開されていそうなものをリスト化しておきます。引き受けていてもとっさに思い出せないものや、原則非公開のものは挙げていませんが、もしかすると会員以外には非公開なものも混じっているかもしれません。また、報告タイトルは仮のもので、セッションの趣旨・主催者からのご要望を勘案し、私の報告論文の執筆を進めて行く過程で、大幅に変更される可能性があります。

それぞれが違うテーマなので、報告論文を各種揃えねばならず、もしかして学会大会ピークの春・秋は1分も休めないのでは、と恐ろしくなってきます。早めに準備をしておきましょう(自分に言い聞かせています)。

4月23日:戦略研究学会
池内恵「紅海岸地域に転移するグレートゲーム」共通論題「国際環境の変化と戦略」
戦略研究学会第15回大会(明治大学駿河台キャンパス リバティタワー7階、2017年4月23日開催)

なお、戦略研究学会では理事と大会・研究会委員というのも命ぜられていて、今年は共通テーマの「国際環境の変化と戦略」に沿った基調講演を中西寛先生にご依頼する役目を拝命いたしております。ご快諾いただき、研究大会の重みがぐっと増しました。

〔基調講演〕中西 寛氏(京都大学大学院法学研究科教授・公共政策大学院長)「現代世界における戦略的思考について」(仮)

また、共通テーマに関するシンポジウムでは、ロシア軍事研究の小泉悠さんなど、世代交代も意図した構成で活発な議論を喚起する予定です。非会員でも学会全体を聞きに行くことができますので、ご興味のある方はぜひ。

5月27日:政治思想学会
池内恵「グローバル言説圏における「イスラーム」をめぐる保守/リベラルの位相」(仮)
政治思想学会第24回大会・シンポジウムⅡ保守の多様性」共通テーマ「政治思想における「保守」の再検討」(早稲田大学、2017年5月27・28日開催)

6月10日:宗教法学会
池内恵「イスラムと法」(仮)
第35回宗教法制研究会・第74回宗教法学会(青山学院大学、2017年6月10日開催)

6月17日:日本ピューリタニズム学会
「イスラーム教における寛容と政教分離、そして宗教改革」(仮)
第11回日本ピューリタニズム学会・シンポジウム「ピューリタニズムとイスラームの対話――政教分離と寛容思想をめぐって」(仮)(青山学院大学、2017年6月17日開催)

8月8日:国際高等研究所
池内恵「宗教間対立を超克する「井筒俊彦」の世界観」(仮)
けいはんな哲学カフェ「ゲーテの会」(公益財団法人国際高等研究所、2017年8月8日開催)

11月4日:社会思想史学会
池内恵「社会思想史におけるイスラーム教」(仮)
第42回社会思想史学会大会・シンポジウム「社会思想史における宗教」(京都大学、2017年11月4日・5日開催)

【寄稿】『国際政治』に書評:米国が担う国際秩序形成について

日本国際政治学会の学会誌『国際政治』第186号に書評を寄稿しました。

池内恵「書評 ウォルター・ラッセル・ミード著 寺下滝郎訳『神と黄金(上・下)』」『国際政治』第186号、2017年1月, pp. 169-172.

脱稿が遅れて担当編集の方にはご迷惑をおかけしました。

書評の枠を超えて、関係する書物を網羅した書評論文的なものを書いたところ、規定の枚数の二倍以上を書いてしまい、『国際政治』は字数が極めて厳格なため第1稿のままでは絶対に掲載されないため、絞り込んだ短縮版の第2稿を改めて提出して、掲載にこぎつけました。

長い方はさらに拡充して別の雑誌に載せる予定です。

【寄稿】「アフリカの角」への中東諸国の進出をめぐって『中東協力センターニュース』に

寄稿しました。

池内恵「湾岸諸国の「アフリカの角」地域への進出––その可能性とリスク」『中東協力センターニュース』2017年1月号、14−19頁

連載「中東 混沌の中の秩序」の第8回です。この「連載」は実際には4半期に1度の「定期寄稿」であって、「続き物」ではなく、その時その時にテーマを選んで調べて書く報告書シリーズのような実態があるのですが、2016年1月号以降の今回までの5回のうち4回が何らかの形で中東特に湾岸諸国と、紅海沿岸からバーブル・マンデブ海峡や「アフリカの角」諸国との関係を扱っています。

中東諸国内の体制・国際関係の変動が、隣接する地域を含む、地域秩序そのものの組み替えに向かっている、そのような認識が、このようなテーマ設定をもたらしています。

先日の『国際問題』に寄稿した論文などと共にご覧ください。

【寄稿】『日経ビジネス』誌12月19日号でサウジ副皇太子について

短文を寄稿しました。

『日経ビジネス』誌の12月19日号は「次代を創る100人」を前号にわたって特集しているのですが、そのうち一人がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子なのですが、彼の紹介文を書いています。

池内恵「ムハンマド・ビン・サルマーン」『日経ビジネス』2016年12月19日号, 102頁

ほんの小さな紹介記事ですから、初心者向けに必要なことだけを。こんな細かい仕事ですが、同じページの隣には田中明彦先生(前JICA理事長・現国際大学学長)が、先頃国連事務総長に就任したアントニオ・グテーレスについて紹介文を寄せています。こんなえらい先生方も細かい仕事引き受けてくれるんですね。

彼についてはサウジ専門家がもっとよく知っているかと思いますが、一般向けに、非専門家が知っておくべきことは、という観点ならいいかと思って引き受けました。『フォーサイト』でもう少し専門家の着眼点に近いところを(それでもやはり基礎的な部分)をまとめておいた一文も、長い間かなり読まれているようです。これを読んで依頼が来たのかな。たまにはサウジ専門家ではない私のような広域・比較研究者に聞くのもいいでしょう。

池内恵「『ムハンマド副皇太子』に揺れたサウジの1年」2016年4月29日

2016年の年頭には、ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子(国防相・第2副首相)が、従兄弟のムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子(内相・第1副首相)を置き換えて皇太子に就任、あるいはいっそ父サルマーン国王が譲位して一挙に息子が即位か?時期は今夏にも?などと噂と憶測が飛び交いましたが、夏が過ぎる頃には、当面両者が並存することで落ち着いた模様。それらは「中東通信」でメモしておきました。

池内恵「サウジ・サルマーン国王の息子ムハンマド副皇太子への直接譲位説」2016年1月31日
池内恵「サウジは当面ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子とムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子が共存」2016年9月29日

【回顧2016】読売新聞の文化欄「今年の論考ベスト3」で宇野重規さんとの対談が選出

12月19日の読売新聞朝刊文化欄の「回顧2016 論壇」で、論壇委員の先生方がそれぞれに選ぶ「今年の論考ベスト3」に選ばれていました。

久米郁男先生(早稲田大学教授・政治学)と坂元一哉先生(大阪大学教授・国際政治学)のお二方が、いずれも『中央公論』9月号の宇野重規先生との対談をベスト3に選んでくださっていました。

二人から選ばれている論考はこの一本だけでした。

ありがとうございます!

【寄稿】PHP総研「グローバル・リスク分析」2017年版を発表

毎年恒例の、PHP総研で行っている「グローバル・リスク分析」に今年も参加させていただきました。

本日、2017年版が発表されました。こちらから本文をダウンロードできます。

今年選んだ10の項目は次のようなものでした。

Global Risks 2017

  • 1.サイバー分野で失われる国際競争力と進行する「植民地化」
  • 2.トランプ「勝手主義」に翻弄される世界
  • 3.中間層「選挙の乱」矛先はグローバリズムへ
  • 4.対外強硬姿勢で国内不安の乗り切りを図る中国
  • 5.韓国大統領選とトランプ政権登場で混乱必至の朝鮮半島情勢
  • 6.東南アジアで不安定化する米中バランス
  • 7.密かに高まる印パ核保有国同士の軍事的緊張
  • 8.トランプ政権の政策転換で不安定化する「ポストIS」の中東
  • 9.構造的ハードルに阻まれ米露リセットに限界
  • 10.重要インフラへのサイバー攻撃の本格化

今回は「サイバーで始まりサイバーで終わっている」(2項目使っている)というのが一つの特徴でしょうか。サイバーについては以前から注目しており、昨年も10項目の10番目(といってもリスクの度合いに順位はつけていませんが)に入れておきました。

しかし今回はこれをかなり強調し、またリスクの所在・源がサイバー攻撃を「行う側」にあることは当然でその分析を進めつつ、「日本側の対応の不十分さ」に重大なリスクが秘められている点を、より強調しています。来年はリスクとしてのサイバー問題が、すでに顕在化したテロなどに比肩するような規模で顕在化し、重大事象を引き起こしかねない、という「潮時」感を醸し出しています。

2012年版から始まったこの企画、私は2013年版から参加させていただいていますが、毎回大変勉強になります。

これぐらい続くと、変化の動向を見るのにも役に立つのではないでしょうか。末尾に2012年版以来の毎年の10のリスクを並べて一覧表にしてありますので、思考実験にお使いください。

世界に存在するありとあらゆるリスクを列挙するのではなく、年頭に「今年」のリスクとして挙げるならこれ、というものを選んでいます。過去の版で指摘しておいて、すでに顕在化し認知されたリスク項目については、今年も依然としてリスクではありつつも、取り上げないことがあります。

以前の版については、以下のエントリもご参照ください。

【発表】『PHPグローバル・リスク分析』2016年版(2015年12月18日)
2015年のグローバルリスク予測を公開(2014年12月20日)
トルコ経済はどうなる(3)「低体温化」どうでしょう(2014年2月12日)

【寄稿】『京都新聞』にインタビューが掲載されました

『京都新聞』にインタビューが掲載されていました。じっくり時間をとって話を聞いていただき、また時間をとって順番を待って文化欄に大きめのスペースを確保してもらって、満を持しての掲載。

「100年前の状況に近づく中東混迷 「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」など関連著書出版 東大准教授・池内恵さん」『京都新聞』2016年11月22日(朝刊17面)

おそらくウェブ上では読めないのでしょうね。また、京都新聞のデジタル版を見ると、「バックナンバーは過去10日」「毎日朝刊の最大10頁のみ」ということなので、デジタル版を購読しても読めなさそう(紙版を購読しているとデジタルは無料だそうです)。

うーん、もったいない。京都情報なら他府県からデジタルのみで購読する人が大勢いるのではないかな、と思うのだが。

せっかく「京都にいないと読めないプレミアム」感が強いので、ここでも文面は公開しません・・・