【寄稿】『国際問題』11月号に、エジプトと環紅海地域について

日本国際問題研究所の『国際問題』に寄稿しました。

池内恵「『大国エジプト』の没落と再興──紅海岸諸国の雄としての台頭」『国際問題』第656号(2016年11月号), 13−19頁 【論文へのダイレクトリンク

テーマは、ここのところ興味を持っている、中東とアフリカの境界領域の「紅海」のサブ地域としての形成について。その中でのエジプトの地位について。

『国際問題』は歴史と伝統のある論文誌で、近年はウェブ版となりましたが、年会費を払って会員になって事前に予約しておくと、オンデマンドの紙版も送ってもらえるようです。

一箇所、昨日ウェブで公開された際に誤植を発見したので、急遽差し替えをしてもらいました。現在のものは修正後のものです。

編集工程で、私が付していない傍点が14頁の一節に付されてしまい、ゲラで気づいて修正を支持したのですが、手違いで反映されずに残ってしまいました。

しかし紙版でお手元に届いた会員の方には、傍点が残ってしまったものが届いているかもしれません。ホームページで訂正が出ています。【訂正箇所についてはこちら

今月中ですと、プリントアウト可能なファイルがダウンロードできます。刊行日の翌月からは、会員以外はプリントアウトはできなくなりますが、閲覧のみ可能なファイルがよく探すと提供されているようです。

試しに、以前に寄稿した論文をバックナンバーから探してみました。

池内恵「『アラブの春』をどうみるか 中東政治研究の再考と刷新のために」『国際問題』第605号(2011年10月号), 1-9頁

【寄稿】『文藝春秋オピニオン 2017年の論点100』にグローバルなテロの拡散について

寄稿しました。

論点100のうち第7の、「テロの世界的拡散」について執筆しました。

池内恵「テロの世界的拡散 その先には何があるのか」『文藝春秋オピニオン 2017年の論点100』2017年1月1日発行(2016年11月4日発売)40-43頁

『文藝春秋オピニオン◯◯年の論点』企画には2013年以来毎年執筆しているのですが、今年はもう、いよいよ自分の重要な論文仕事でいっぱいいっぱいで、とてもこういった一般向け論考には手が回らず、パスしてしまおうという気が湧かなかったわけではありません。

しかし、現状分析としても、日本の言論状況の中での中東・イスラーム論の位置づけの確認という意味でも、定点・定時観測として、年刊の媒体に書いておくことにも意味があるかと思いまして、必死で原稿を出したわけです。

統計的に意味があるかどうかわかりませんが、池内の担当テーマが100の論点の中で占める位置という意味では、2013年以来、順位が36→48→70→6ときて、2017年度版ではワンランクダウンの「7」でした。蓮舫とホリエモンの間にいます。知名度と収入がガクンとへこんで第7位です。

晩秋の学園祭トーク(2)駒場祭・弁論部の講演会で、中東の現在について

学園祭トークその2。これ以外にはもうやりませんよ。

池内恵「今、中東で何が起きているのか」
日時:2016年11月27日(日)
13時30分~14時30分 講演
14時30分~14時40分 質疑応答
会場:東京大学駒場キャンパス 13号館2階 1323教室
主催:第一高等学校・東京大学弁論部

晩秋の学園祭トーク(1)「信じる人を見る宗教映画祭」で2012年マリ北部紛争をテーマに

学園祭・学生企画的なイベントでのトークのお知らせを二つほど(あんまりこういう企画をお手伝いする時間がないので、偶然お引き受けしたものだけです)。

12月10日(土)の12時頃から、渋谷のユーロスペースで、映画にまつわるトークをします。

12月10日〜16日に「信じる人を見る宗教映画祭」というものが行われます。「日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年映画ビジネスゼミ」が主催とのこと。結構大掛かりな様子です。

主催者から依頼されて、下記の映画の上映後にトークをします。私のスケジュールとの兼ね合いで偶然なのですが、この映画祭のオープニングの映画の後に話す形となります(全上映スケジュールはこちら)。

2016年12月10日(土)10:30ー
「禁じられた歌声」(2014)
監督:アブデラマン・シサコ
フランス、モーリタニア/カラー/DCP/97分

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西アフリカのティンブクトゥ近郊の砂丘地帯で、家族とともにつつましくも幸せな毎日を送っていた少女トヤ。ある日、イスラム過激派のジハーディスト(聖戦戦士)が街を占拠し、住人たちは音楽もタバコもサッカーも禁じられる。一家は混乱を避けてティンブクトゥに避難するが、些細な出来事をきっかけに運命 は大きく変わっていく。監督自身がイスラム教徒であり、本作はフィクションだが2012年に実際に起きた事件に触発されている。

・・・とのことです。2012年のマリ北部の紛争と、その中でのアンサールッディーンとイスラーム・マグリブのアル=カーイダ(AQIM)の台頭、ガオの制圧、ティンブクトゥの霊廟の破壊など、当時は報じられた気がしますが、「イスラーム国」の衝撃で、すっかり忘れられたような気もします。あらためてこの紛争を振り返ってみる機会になりそうです(私もまだ未見ですので、当日見てみてトークを考えます)。