【講演予定】(1)SMU/慶應シンポジウム(6月11日)で日米関係と国際テロリズムについて

公開の講演やシンポジウムでの登壇の予定をいくつか。

その1。日米関係と安全保障に関するシンポジウムで、グローバル・テロリズムについて、イスラーム思想・運動組織論の観点から報告します。

サザン・メソジスト大学(SMU)のTower Centerと慶應義塾大学グローバル・セキュリティ研究所が共催する「日米関係とアジア太平洋の安全保障」に関するシンポジウムが、6月10日(金)と11日(土)に慶應義塾大学三田キャンパスで開催されますが、この二日目のパネル3「安全保障の新しい課題と日米同盟」のパネリストの一人としての登壇です。

シンポジウム全体のお知らせへのリンクと、出席するパネルの他の報告者と報告タイトル、コメンテーターを記しておきます。

参加は無料で、特に資格は必要ありませんが、ウェブサイトから英語で登録が必要です。

大学のシンポジウムですので若干硬めの議論になりますが、米国側に対しては単刀直入にかつ面白く話さないといけません。

英語でやるか日本語でやるかはまだ決めていません。米国からの参加者には直接英語で話した方が通じやすいでしょうが、聴衆の多くは日本人なので、日本語の方がいいかもしれません。かなり優秀な同時通訳がつくと思います。

Sun & Star Symposium in Japan | U.S.-Japan Relations and Security in the Asia-Pacific: Challenges and Hopes
「日米関係とアジア太平洋の安全保障 課題と展望」

SMU慶應シンポ

3:45 – 5:15 p.m.
Panel III: New Security Issues and the U.S.-Japan Alliance
第3部:安全保障の新しい課題と日米同盟

Cyber Security and the New U.S.-Japan Defense Guidelines
サイバー・セキュリティと「新日米防衛ガイドライン」
Motohiro Tsuchiya, Keio University, Japan
土屋大洋(慶應義塾大学)

Security Measures against Jihadist Terrorism
ジハード主義テロに向き合う安全保障
Satoshi Ikeuchi, University of Tokyo, Japan
池内恵(東京大学)

Food Security after the 3.11 East Japan Earthquake
東日本大震災後の「食」の安全保障
Nicolas Sternsdorff-Cisterna, Assistant Professor of Anthropology, SMU
ニコラス・スターンズドーフ・シスターナ(サザンメソジスト大学)

Discussant: James Hollifield, Director of the Tower Center, SMU
討論者:ジェームズ・ホリフィールド(サザンメソジスト大学)

【テレビ出演】本日の「NHKクローズアップ現代」でグローバル・ジハードの拡散について

本日3月16日午後7時30分からNHKクローズアップ現代「テロ“拡散”時代 世界はどう向き合うか」に出演し、グローバル・ジハードの拡散と拡大のメカニズムについて解説します。(再放送は日付変わって17日の午前1時3分〜)

番組予告はここから

クローズアップ現代

番組予告ではテロの「標的」がソフトターゲットになっていることを強調しているようですが、私自身の解説は、テロの「主体」の側が拡散し分散型・自発的呼応型になっていること、さらにそれがイラクやシリアなどで領域支配を「拡大」することによって、聖域・拠点を得て、拡散にもさらに強度を増したハイブリッド型になっているといった基本ラインを説明しようと思っています。

また、クローズアップ現代のリニューアルも近づいている間近ですので、2001年の9・11事件以来の世界の変動についても振り返ってみたいですね。長かったような、短かったような。

【テレビ出演】1月1日放送の「ニッポンのジレンマ」が1月30日0時30分から再放送へ

米国出張で、米自治領プエルトリコ(学会)→テキサス州ダラス(サザンメソジスト大学)→同カレッジステーション(テキサスA&M大学)等を周って最後の用務をすませ帰国便に乗るはずだったニューヨークで、米東海岸を北上する暴風雪(Winter Storm Jonas→Blizzard 2016)に捕まり、足止めを食っております。SnowstormとBlizzardの定義を勉強いたしました。

20インチ以上、もしかすると24〜28インチ近くにもなろうかと予想されている、ニューヨークの観測史上(1869年以降)5指に入るとも喧伝される大雪のため、車両通行止めとなってマンハッタン島は「歩行者天国」状態になって静まり返っており、駸々と雪のみが降り続いておりまして、ホテルで缶詰になって遅れた原稿を進めています。

米国のもっと北、五大湖のあたりなどは気温もはるかに低く、ずっとBlizzardが吹いていると言っていいぐらい降雪・積雪もすごいので、雪国の人は大騒ぎを見て笑っているとは思いますが・・・「ニューヨーク雪まつり」のような雰囲気ですね。もっとも関連した死者も出ているのであまり興味本位ではいられませんが。

この機会に、1月初頭から滞っていた、刊行・テレビ出演情報の更新をいたします。

まず、元旦に放送されていた討論番組へのビデオ出演について。近く再放送されるようですので、今のうちにおしらせしておきます。

「ニッポンのジレンマ元日SP「 ”競争”と”共生”のジレンマ」NHK・Eテレ、2016年1月1日午後11時〜(150分)

ニッポンのジレンマ・ロゴ

これが、2016年1月30日(土)深夜0時30分〜3時(どうやら1月31日の0時30分〜3時ということらしいです。公式ウェブサイトの表記は紛らわしいというか、言語として間違っているのではないかと思います。1月30日24時30分〜と書くべきでしょう)に再放送される模様です

この番組の中で、スタジオの討論者ではなく、収録ビデオで出演しています。事前収録のVTRがスタジオで映し出される3人の「上の世代」(と言ってもあまり年齢が違わない人たちがスタジオに混じっていますが・・・)の一人として、間接的に参加しています。他の二人は堀江貴文氏、川上量生氏です

なぜかホームページにもこの3人の名前が載っておらず、事前にウェブで公開されていたらしいVTR(もしかすると放送されたものよりも長め)も視聴不能になっているなど、番組・ウェブサイトのいずれも全般に分かりにくい立て付けになっていますが、まあいいでしょう。番組にはフェイスブックのアカウントも存在しているようです。

研究室でディレクターとカメラに向かって長くしゃべった中のごく一部を切り取って編集されてVTRにされ、それを見せられたスタジオの論者があまり準備もせずに反応して、それがまた編集されているようですので、噛み合っていません。

キャッチフレーズのようにして言っておいたため、おそらく番組で必ず使うだろうな、と予想していた部分への反応がなかったのが(少なくとも編集後の放送されたものには)、残念でした。

その部分は、だいたい覚えている範囲では「2015年は西欧・欧米の普遍主義が実はそれほど普遍ではないことを様々な形で気づかされた年だった。2016年はそのことをもっとあからさまに認めてしまう年になるだろう」と、かなりアイロニーやニュアンスを載せて話したので、もう少し良く考えて欲しかったのですが、これについて誰も反応せず、学者の世界では良くある反応、つまり「文明の衝突」という言葉をあえて私が使ったところ「使っちゃいかん」と反応するという形の議論が行われ、それに反論する議論も出ましたが、煮えきらないまま終わったようです。

単に「文明の衝突」と言っていいのかいかんのか、という話ではなく(それは定義や目的次第で様々に議論できますが)、それとグローバル化が進む中で「普遍主義」が今後も理念的にそして実際的に可能なのかどうか、という話を加えて、思想的あるいは歴史的な状況認識を再検討したり、現状と将来を見通すための分析概念の再構成をしたりすれば面白かったと思いますが、考えてみたらそんな議論は既存の学問の枠組みの中で誰もやっていないのだから、突然テレビで行われるはずもないのかもしれません。しかしテレビは学会発表でも研究者の研究会でもないので、出る人はもっと「片鱗」を見せればいいんじゃないかと思いますが。

再放送で、この噛み合わない感じをぜひご覧ください。

【テレビ出演】明日(11月22日)のNHK「日曜討論」に出演:パリ同時テロについて

明日、11月22日のNHK「日曜討論(朝9:00〜10:00)」に出演します(ラジオ第一でもやっています)。

テーマはパリ同時テロ事件です。テロ事件そのものの分析と、政治・外交・安全保障上の影響・波及など。

実質的な議論ができそうで楽しみにしています。

日曜討論2015年11月22日

日曜討論には過去、思い出せるだけでも3回ほど出演の打診がありましたが(最近ではシリア日本人人質事件など)、毎回海外出張と重なっていて出演できませんでした。出張費用節約のため、自分で計画する調査では変更不能のチケットを買っていますので、直前に言われても変えられなかったからです。現地からスカイプで参加したっていいと思うんですが、同じ時間に東京のスタジオにいられる人だけで話し合わないといけないんですね。国際問題を論じるための出演者を集めるには現実的ではない条件だと思うのですが。

今回も実は、日曜朝にインドネシアに向けて出発する予定だったのですが、今回は招聘元の財団のご厚意により、チケットを変更していただくことができました。関係者の皆様に御礼申し上げます。

その代わり、私は出演の後、乗り継ぎ深夜便で行って朝に現地に到着してそのまま会議で英語で発表、という未知のゾーンに入りますが。私は帰国子女ではないので、英語発表への準備と労力は数十倍かかります。そういった代償を払っての出演であるということはここに記しておきたい。

ご一緒するのは西欧育ちのEU研究者の吉田徹さん(北海道大学教授)など。

吉田さんとは最近北大のシンポジウムでお会いすることができましたが、考えてみると、私が文章を書き始めた最初の頃に寄稿した『日本はどう報じられているか』(新潮新書、2004年)でご一緒していました(当時は顔合わせすることはありませんでした)。編者の石澤靖治先生、ありがとうございました。

この本は、地域研究者が各国の日本報道について記したもので、かなり評判が良く、隠れたロングセラーでした。

この頃、私はアジア経済研究所、吉田さんは日本貿易振興機構に勤めていました(この二つは当時すでに特殊法人統合で一つの組織になっていましたが、実態としては所在地も遠く、机を並べていたわけではありません)。二人ともまもなく大学に出てしまいましたが。

(あんまりこういうことを書くべきではないのでしょうが、もう中堅以上の研究者になっている吉田さんですからもういいと思いますが、吉田さんのご尊父は、かつて、某深夜討論番組華やかなりし頃の、常連出演者だった方なんですよね。結構印象深い論客として、名前を出せば覚えている方もいるのではないでしょうか。私はご尊父の書いた国連と広報に関する中公新書も読んでいました。「討論番組」となると血が騒いで普段の洗練された政治学者の仮面をかなぐり捨てて論破してきたりしたらどうしよう)

【テレビ出演】「クローズアップ現代」(11月16日)での発言がNHKウェブサイトに

昨日出演した「NHKクローズアップ現代」の内容が、活字と静止画像でNHKのウェブサイトに掲載されました。

「NHKクローズアップ現代 No. 3733 緊急報告 パリ“同時テロ”の衝撃」2015年11月16日

私の発言も、詳細に確認してはいませんが、スタジオで生で発言した通りに文字起こしされているはずです。一部、「領域支配」と言ったはずが「領地支配」に変換されていたりします。そう聞こえるのかもしれませんが、そうは意図して発言していません。若干精度の荒い記録とお考えください。

いずれにせよ、このような文字起こしを公開し残しておくことは、信頼性のある報道番組であろうとするならば必須の条件と言っていいと思います。

発言時間は国やキャスターとのやりとりを含めて8分程度しかありませんので、事前の打ち合わせではもっと多くの論点を入れようと準備しましたが、実際にやってみると入らない部分もありました。

ただ、組織原理や戦略目標が変わったのではなく、従来のグローバル・ジハードの各地の分散型・自発的テロの多くの種類を組み合わせ、「冷酷さ」と手際良さにおいて「進化」したという論点はじっくり議論できたように思います。

何がこの「冷酷さ」をもたらしたかは、今後検討しなければなりませんが、渡航してイラクやシリアでの戦闘に関わったり、あるいはそこからもたらされる残酷な情報に触れることで、麻痺してしまったのかもしれません。

【テレビ出演】NHK「クローズアップ現代」でパリのテロについて(今夜再放送があります)

忙しくて、また急だったので、通知すらできませんでしたが、NHK「クローズアップ現代」(午後7時30分〜7時56分)に出演しました。

「NHKクローズアップ現代No. 3733 緊急報告 パリ“同時テロ”の衝撃」2015年11月16日(月)

クロ現2015年11月16日パリ同時多発テロ1

再放送は今夜日付が変わって17日(火)午前1時00分〜1時26分です。

「拡大と拡散」について噛み砕いて話すことができました。元来が持続が困難な難民・移民政策の変更のきっかけ、言い訳となる可能性や、軍事行動による拠点の「拡大」阻止が、少なくとも短期的には「拡散」を促進する可能性についても話してあります。

今回が「組織的」であるかというと、これまでより高度になって、「冷酷さ」において進歩し(その原因が何なのかまでは語れませんでしたが)、手際が良くなったといった論点も入れておきました。

【テレビ出演】BS-TBS「週刊報道LIFE」でパリの同時多発テロ事件を解説

本日夜9時から、BS-TBSの日曜夜の報道番組「週刊報道LIFE」(9:00~9:54生放送)に出演する予定です。

BS-TBS週刊報道LIFE

テーマはパリの同時多発テロ事件とその影響について。

ウェブ上の番組案内ではこのように記されています。

「パリ同時多発テロを緊急特集。
120人以上が犠牲となった、これまでにない大規模なテロ。
イスラム過激派との関連は、そして今後の展開は…
気鋭のイスラム研究者、池内恵・東大准教授が
最新情報を交えてスタジオ生解説。」

急遽予定していた番組内容を差し替えてパリのテロ事件を特集するということですので、いろいろ考えたのですが、出先から戻って出演することにしました。

本当は、この週末は大きな文章仕事の山場だったのですが。しかしテロですでに邪魔されているので、もうこうなったら今しか調べられないことを調べて考えます。

テレビ出演は労力がかかって研究の進展には必ずしも助けにならないこともあるので、それほど頻繁には行っておりませんが、この番組の前身の「週刊BS-TBS報道部」には2月1日と3月22日に出演して、「イスラーム国」による人質殺害と、チュニジアのバルドー博物館のテロについて、それぞれ解説しました。

2月1日の出演については、このブログには出演情報が記されていないが、当時おそらくフェイスブックでは出演告知をしていたのかな。人質事件の情報分析であまりに忙しかったものですから。2月1日にBS-TBSで話した内容の一つがこれ。脅迫ビデオを見れば、「軍事か非軍事か」などということを「イスラーム国」側は問題にしていないことが明瞭だ、という話

この番組とのご縁は、『フォーサイト』(新潮社)がウェブになる前の月刊誌だった時代に連載「中東 危機の震源を読む」を設けてもらってお世話になった、堤信輔元編集長がコメンテーターになっているため。今回、堤さんも本来は出演予定ではなかった回ですが、急遽出てきてくださるそうです。

イスラーム世界では金曜日に物事が動きやすいのですが、日本では「土・日は堅苦しいニュースは見たくない」という一般聴衆の感情を慮って(なのか)、軒並みニュース番組は休みます。そのため、金曜日に起こったイスラーム世界の出来事についての土・日の報道が要領を得ず、月曜日にはもうニュースの旬としての時期が過ぎているので報じられない、ということを繰り返しています。24時間ニュース局ができれば問題は解決するのですが、需要がないのでしょうね。いつまでたっても日本のBBC は現れません。特に土・日は地上波ではニュース番組がほとんどなく、テレビを情報源としている人たちにとっては情報が途絶します。それに新聞休刊日が重なったりすると、要するにテレビ局も新聞も記者が休んで当直の人しかいない状態になるので、あらゆる意味で情報の流通が悪くなります。ワーク・ライフ・バランスは大切ですが、メディアの人ぐらいは土日に働いてもいいんじゃないの?と思いますが。ニュースは365日24時間全力で追いかけて発信する体制を作り、平日に交代で休めばいいじゃないですか。

その中で日曜日にまともにニュースを扱おうとする番組企画があると、ちょっと無理してでも出演してみようかな、という気になったりします。

【テレビ出演】11月7日土曜日の昼に、テレビ東京「マネーの羅針盤」で選挙後のトルコを解説

出演情報です。

テレビ東京マネーの羅針盤

11月7日土曜日の昼12時5分から、テレビ東京「マネーの羅針盤」に出演予定です。テーマはトルコについて。(BSジャパンで午後2時5分から再放送があるようです)

番組予告によれば、

■特集コーナー「混迷する中東情勢のカギ握るトルコ」
トルコで1日、総選挙が行われ与党が単独で政権を担うことが確実となった。 政治空白が解消される期待から市場もその行方を注目している。 中東情勢が混迷極めるなか、カギとされるトルコの今後は?
ゲスト:東京大学准教授 池内恵氏

だそうです。

今は必死に論文を書いていないといけないのですが、トルコの選挙という節目であれば、どうせまとめておく必要もあるからと引き受けてしまいました。お待ちいただいている編集者・担当者の皆様、無駄にはなりませんので、ご容赦願います。

【テレビ出演】本日(10月30日)夜10時〜NHKBS1「国際報道2015」で解説

特集の文字起こしへのリンクを追加しました。2016年7月3日】

出演情報です。

本日(10月30日)夜10時から、NHKBS1「国際報道2015」に出演し、特集「『IS化』する中央アジア アジア最深部で広がる脅威」で解説を行います。

国際報道2015ロゴ

NHKの番組ウェブサイトの、特集の概要は下記の通り(太字部分)。今後、分析の内容を詰めていきます。

「IS化」する中央アジア アジア最深部で広がる脅威
シリアやイラクで勢力を維持する過激派組織ISが、じわじわと中央アジアに触手を伸ばし始めている。タジキスタンでは、今年5月に治安部隊の司令官がISに寝返り衝撃が広がった。また、キルギスでは今年7月、首都ビシケク中心部で治安部隊がISを支持する過激派の拠点を急襲。メンバー4人を射殺し7人を拘束した。NHKはこのほど、このビシケクの現場を取材。市民や治安当局の話から、失業などで生活に困窮した若い世代にISの勧誘が相次いでいる実態が明らかになってきた。ISが中央アジアに浸透しようとしている意図は何なのか。周囲のロシアや中国、そして世界にどのような脅威となり得るのか。現地からの報告をもとにスタジオで専門家とともに展望する。
リポート:塚越靖一(国際部記者)
出演:池内恵(東京大学先端科学技術研究センター准教授)

「中央アジア諸国での過激派の台頭」「イスラーム国とのつながり」は、安全保障アナリストの間では、2015年の注視すべき課題の一つとして挙げられていました。各国政府も取り締まりを強めていますが、中央アジアを拠点・発信源とする過激派ネットワークの最大手「ウズベキスタン・イスラーム運動」はすでに「イスラーム国」に忠誠を誓っています。7月にはキルギスで過激派組織の摘発がなされると共に、「イスラーム国」側がキルギスの過激派を扇動するビデオ声明を出す、タジキスタンでは過激派対策の司令官が逆に「イスラーム国」に寝返ると宣言してしまうなど、注目すべき動きがあります。

安倍首相は22日−28日にかけて、モンゴルに加え中央アジア5カ国全てを歴訪するという前例のない積極的な首脳外交を繰り広げておりますが、大陸の深奥部であるこの地域に日本は足場も土地勘も乏しく、メディアの報道もどう扱っていいか測りかねているようです。その中で、NHKは現地取材も行って今回の特集を準備してきた模様です。どのようなVTRを見せてもらえるか楽しみにしています。

なお、日本での安倍中央アジア歴訪への反応は、中国のシルクロード経済圏「一帯一路」構想への対抗策、という面を捉えたものが最も有力と思われます。

遠藤誉「安倍首相中央アジア歴訪と中国の一帯一路」『ニューズウィーク』2015年10月26日

ところで、「中央アジアに過激派台頭の兆し」という話題は、日本では一般にほとんど知られていなかったのですが、安倍中央アジア歴訪だけでなく、安倍歴訪を巡って『中央公論』11月号の佐藤優・山内昌之対談で中央アジアの過激派問題が取り上げられたことが、一部での関心の高まりの原因になっているのではないかと思います。

山内昌之・佐藤優「徹底討論ラディカル・ポリティクス−−いま世界で何が起きているか3 シリア難民が成田に押し寄せる日」『中央公論』2015年11月号、150−159頁

この対談の中で、山内氏は自身のカザフスタン・ウズベキスタン訪問で、現地の政府系研究機関の所長がキルギスからの「イスラーム国」勢力の侵入を危惧していたと話すのに対し、佐藤氏はタジキスタンが「内戦の様相が強まっている」と表現しています。それに応じて山内氏は中央アジア5カ国のうちタジキスタンとキルギスは「破綻国家」で「イスラーム国」の州になりかねない、とかなり大胆な予想まで披露しており、佐藤氏も「その認識が日本では決定的に弱いのです」と応じています。佐藤氏はさらにたたみかけて、山内氏が歴訪したカザフスタンとウズベキスタンの大使館員との会話の様子を聞いて、タジキスタン、キルギスの危険性への認識が甘いと推定し、「当然、さまざまな情報を掴んでいないといけないのですが、やっぱり、大使館員の意識は、そんなに高くないのかもしれませんね」と、お家芸である外務省批判につなげていきます。現地の大使館の人員の規模は極めて小さいでしょうから、接遇などで精一杯で、十分に分析までしていられない可能性は大いにあります。

ただし、ここで取り上げられている情報自体は専門家の間では広く流通しているので、まさか大使館員が知らないということはないでしょう。しかし官邸の上の方の政策判断に現場の認識が十分に生かされていない可能性もありますし、現場そのものが兵站の制約などから、首相歴訪で急激に高まる期待に応じるほど機能できていない可能性もあります。こういった指摘は政治の側で適切に受け止めるべきでしょう。

タジキスタンとキルギスを「内戦」「破綻国家」とまで評していいのかどうかはまだ定かではありませんが、確かにそのような激変を想定外にしていてはいけないでしょう。カザフスタンやトルクメニスタンのようなそれなりに安定した資源国と、タジキスタンやキルギスのような治安に不安があり、(過大視されている可能性もありますが)テロの拠点となりかねない国では、別種の対応策が必要であることも言うまでもありません。

この対談シリーズは、ロシアやイスラエルの政府治安当局の発想が露骨に出すぎている部分も多くあり、イラン分析などは一方的なこともあるのですが、中央アジアについては実際にロシアやイスラエルの分析以外に情報が少ないことからも、そのまま事実として受け止めるかどうかは別として、貴重な知見の一端を伝えています。10月26日付の読売新聞の論壇時評にも取り上げられていたようですし、やはり影響力は大きいな、と思います。

関係があるかどうかわかりませんが、結局私などもこうして解説で駆り出されているわけですし。

【お知らせ】名古屋・栄の中日文化センターで月1回の講義(7−9月)

名古屋方面の方向けにお知らせ。今週末の26日から、月1回第4日曜日に名古屋の栄の中日文化センターで講義します。

「イスラム社会とイスラム国」三回シリーズ
I. 宗教(7月26日)
Ⅱ.国家(8月23日)
Ⅲ.国際関係(9月27日)
多分まだ申し込みできると思うので(締め切っていたらすみません)。
受講料は三回セットで9,072円とのこと。初めての方は入会金も必要かもしれません。
一般向けの講義はめったにしませんので、お近くの方はご関心があればぜひ。

【テレビ出演】7月9日(木)にBS Japanの日経プラス10に出演し解説します

明日7月9日木曜日の夜10時から、BS Japanの「日経プラス10」に出演します。

テーマは、とりあえず、こんな感じのものである。日経プラス10

7/9(木)「“国家樹立宣言”から1年…『イスラム国』の最新動向とグローバルジハードの脅威」【ゲスト】池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター准教授)

【今のうちに告知】8月8日に北大でシンポジウムに

今のうちにご通知。8月8日に北大でシンポジウムに登壇します。14時から17時にかけて行われる予定です。

「北海道大学公共政策大学院(HOPS)創立10周年記念シンポジウム」というもので、北海道新聞の共催ということもあって、かなり大掛かりな、また参加無料で、一般に開かれたものになります。

北大HOPS

タイトルは正式には決まっていないようですが、現代社会における宗教、といったテーマになりそうです。近く広報されると思います(私が遠隔地への出張で連絡を怠っていたために遅らせているような気がいたします)。

私以外に、北大法学部の辻康夫先生(西欧政治思想史)が予定されています。辻先生は多文化主義やマイノリティの問題に関心を寄せていらっしゃいます。

チャールズ・テイラー編著のこの古典的名作の訳者の一人でもありますね。

この本は、イスラーム教と近代社会との関係について突き詰めなければならなくなる時には結局ここに戻ってこないといけなくなる、と考えて私が当初から論文で引用してきたものです。その後色々な議論が出たように見えますが、新しいことを言おうとして認識はかえって混乱した面もあり、この本の重要性は今も変わっていないどころか、いっそう価値を高めています。

この本も絶版なのか・・・信じられんな。

「岩波モダンクラシックス」のレーベルで出しなおしていたようだが、これも版元品切れ

あのー、「クラシックス」といったレーベルをあえて作るのであれば、いくつかの厳選した本だけは恒久的に本屋で常に手に取れるようにしたい、在庫を常に持っておいて、必要とするひとがいればいつでも出荷できるようにしたい、というふうな志があるのかと思ったら、大部分が品切れじゃないですか。がっかりだな。

夏になるたびに私が一人で帰省していた母方の祖父の家では、『広辞苑』の各版を、「大変な苦労をして作ったものだから、時代の変化が後々になってから分かるから」と予約注文して買い支えて、大事に並べていました。他社の『大辞林』が出た時も、当然の義務のように買い支えていました。ところが出版社の経営上の一時しのぎのために、さほど改定もしていないのに「新版」を乱発して中身が薄くなっていき信頼を失っていった。そのことを「祖父のような人たちに対する背信だ」と怒っていた父を思い出します。幼い頃のそんなやりとりは、不意に蘇ってきます。

「クラシックス」も、一時的な商売のために使われるのであれば、結果的に市場での価値を失わせる、書物に対する背信と言えるのではないでしょうか。

最近は文庫が「本の墓場」である、などという実態を明かす編集者もいます。「文庫に入ればずっと本屋に置かれる」というのは過去の話で、いまや「文庫も新書も多すぎて本屋の棚に置いてもらえず、文庫になったらもう流通せず、出版した月だけ出版社の『資産』を帳簿上増やすのに使われて、やがて廃棄処分されて本としての生命を終える」ということです。

少子化・高齢化・デフレ・組織の高コスト体質で出版業界がヘタって粗製乱造本をばら撒きながら(不動産収入で社員に給料を出しながら)基本書を絶版にしてコストを浮かし、それによって学芸の基礎が深刻にダメージを受けていくのを感じます。最近特にそのことを感じます。

とりあえずこの本も中古で買っちゃいましょましょう。あと、もう今後は原書で読んじゃいましょう。Kindle版もある。

シンポジウムではイスラーム教とかキリスト教といった厳密な「宗教」に限らず、主権国家や民主政体や資本主義といった世界を成り立たせている制度への不信や不満や被害者意識が、ギリシアのEU緊縮案否決に見られる、集団の非合理的な感情の激発を誘い、先行きの見通せない状況を生じさせていることについて、考えてみたいと思います。

西欧政治史・思想史が分厚い北大ですから、このあたりについて歴史を踏まえた洞察が得られるものと、期待しています。

その意味で、企画を担い登壇もされる予定の吉田徹さんの『感情の政治学 (講談社選書メチエ)』は参考文献となるのではないでしょうか。

お近くの方はぜひ。

お近くでない方も、酷暑の時期に、涼しい札幌にぜひお越しになっては。北海道に来ちゃってシンポジウムは忘れてくつろがれてもそれはそれで。

詳細はまた通知します。

シンポジウムで登壇(築地本願寺・7月25日)

帰国して、毎度のことですが、はげしい時差の元で仕事しています。

7月25日に、東京の築地本願寺本堂で行われるシンポジウムに登壇します。入場無料・申込不要です。

シンポジウム「宗教と平和―中東とチベットの現実から問う平和への道―」2015年7月25日土曜日午後1時半〜4時
築地本願寺<東京都中央区築地3-15-1>
※入場無料、申込み不要

築地本願寺シンポ7月25日

チラシはここから

私以外のパネリストは、伊勢崎賢治さんと定光大燈さんです。

【出演情報】本日19時20分頃からTokyo FM(@小田嶋隆)に出演

本日、Tokyo FMの Time Lineという番組(19:00-19:52)の中の このコーナーに出ることになってしまった。6月18日(木)小田嶋隆●世に溢れる「反知性主義」という言葉の正体(19:20~19:37)

こういった話は全てお断りしているが、こないだこれについてうっかり書いてしまったことと、仕事帰りということでなんとなく引き受けてしまった。

【ご案内】磯崎新さんとのトーク@青山ブックセンター本店(6月21日)

来週の日曜日の昼に、こんなんやります。

磯崎新連続対談 第3回 神話都市:イスラム 磯崎新 × 池内恵 トークイベント「未完プロジェクトの現場から――日本・中国・チベット・イスラムの都市と文化」2015年6月21日(日)13:00~15:00、青山ブックセンター本店

ABCトーク磯崎新・池内恵2015年6月21日

建築家の磯崎新さんと。

私は主に聞き役です。

磯崎さんがペルシア湾岸や中東の王族や政府の大規模プロジェクトにコンセプト作成の段階から関与してどのような者を見てきたか、建築家は権力を持っていてメガプロジェクトを決定・決済する人そのものの懐に入るので、普通には見られない政治や社会の内幕や、権力者の横顔について聞けるかもしれません。

【テレビ出演】3月22日(日)夜9時〜「週刊BS-TBS報道部」に出演し、チュニジア分析をします

明日日曜夜に、例外的にテレビ出演を行います。

3月22日(日)夜9時〜BS-TBSの「週刊BS-TBS報道部」にて、スタジオでチュニジア情勢について、その中での3月18日のバルドー博物館へのテロについて、解説します。

前回2月1日と同じく、元『フォーサイト』編集長の堤信輔氏がレギュラーのゲストで一緒に出演してくださるという条件の元で、また事前に番組構成について私の見解を踏まえてテレビ局側が入念に準備するという条件で、お引き受けしました。

実は私は2月7日−2月20日にかけてチュニジアへの現地調査に赴いておりました。その間にフェイスブック上で、適宜現地から情報を提供していましたが、当時は、1月7日のシャルリー・エブド紙襲撃事件から1月20日−2月1日の日本人人質脅迫殺害事件にかけての、「イスラーム国」をめぐる議論の日本での急激な政治問題化によって、世論が過熱していたことから、調査を行っている場所と期間は、意図的に分からないようにしていました。

私は危険な場所には極力立ち寄らず、とりたて重要な情報源に接触するわけでもないため、元来は動静を隠す必要は全くありません。しかしどのような誤解や曲解、宣伝の対象となるか計り知れないため、念のため居所を意図的に不明確にしていました。

しかしチュニジアにいたという痕跡を若干残しておきたい思いもあり、滞在中にチュニジアで起こった事件のうち、2月18日朝に発覚した西部カスリーン県ブー・アラーバでの、アンサール・シャリーアの傘下にあると称するウクバ・イブン・ナーフィア旅団による内務省治安部隊員4名の殺害という事件について、中東国際政治の議論では通常はあまり参照されないチュニジアのローカルなメディアの報道を紹介して、記録しておいた。

この事件は、その前に頻繁にシェアしていた、リビア情勢とイメエン情勢の悪化という文脈の上に置くと、チュニジアへ過激派の影がじわじわと忍び寄った危険な兆候、という大きな意味を持つと考えた。そのため、一見平穏なチュニジアの、辺境地域での小さなテロについて、注目されていたリビアの「イスラーム国」の動向や、エジプトの空爆などの反応、あるいはイエメンやシリアやイラクの混乱と同様の大きな意味を持つものとして、下記のように記事のサンプルを記録しておいた。

https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679909917944
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679919878193
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679929398431
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679943758790

今見ると、なんらかの兆候に触れてはいたのだが、チュニジアの治安情勢のみに集中していることはできないことから、継続的な追求の手を緩めたと思う。

なお、同様の兆候はアラブ世界の多くの専門家が感じ取っており、リビアの混乱がチュニジアおよび、アルジェリア、エジプトに及ぶ危険性について、3月半ばにかけて、徐々に警鐘の音が高く鳴らされつつあった。

しかしそのような鋭敏で継続的な分析者たちにしても、このようなテロを未然に予測できた人はいなかったと思われる。【記事の例、3月15日付の警鐘3月10日付のアラビア語元記事

本来なら、帰国してさほど期間をおかずに、ブログなどで、チュニジア政治と、チュニジアを軸にしたアラブ地域国際政治の動向や、グローバル・ジハードがチュニジアに及ぶ影響について、まとめてみようと思っていた。また、余談として、チュニジアの一般市民の休日の過ごし方など、アラブ諸国の中で例外的に平穏で安定しているチュニジアの日常や人々の生活に触れることのできるコラムなども、公開しようと下書きを準備してあったた。ただし、著作の出版予定が相次ぐ上に、中東情勢の流動化で絶えずチュニジア以外のより混乱した国・地域についての分析に迫られることから、チュニジア報告に時間を割くことができずにきた。

チュニジア報告の中には、チュニジアでの調査の重点項目である、リビアを通じた「イスラーム国」からチュニジアへの影響、チュニジアの辺境地域および首都の重要施設を狙った武装集団の動きについて、まとめる予定で、帰国後の動きも含めて逐次情報は集めてきたが、まとめる時間と労力は到底割くことができなかった。そのうちに、予想を超えた速さと規模で、手薄な警備の地点を突かれて、チュニスでテロが起きてしまった。

今回のテレビ出演では、可能な限りそれらの知見を提供して、事件の全容解明になんらかの手がかりを提供し、また今後の日本のチュニジアとの関わりのあるべき姿を示そうと思う。

なお、お世話になってきた、また信頼する堤さんとの関係でご縁ができた「週刊BS-TBS報道部」だが、前回2月1日の出演について、このブログのエントリを探したが見つからない。

どうやら忙しすぎてテレビ出演情報をブログに上げることさえできなかったようだ。代わりに1月31日にフェイスブックで通知してあった

フェイスブックの方がシェアしてコメントを走り書きするだけなので短時間でアップできるのと、この頃非常に読者が増えていたのでこちらだけでも十分と思ったのだろう。

しかしフェイスブックの検索機能の弱さ、ハッシュタグ機能の弱さを見るにつけ、やはりデータをブログに集約させなければという気になっている。

ただし、2月1日の番組出演の内容のうち、日本での人質事件をめぐる政治的な議論に一石を投じる、いわば「キラー・コンテンツ」として提示した、「1月20日脅迫ビデオの冒頭映像を見れば、イスラーム国は日本の支援が非軍事的であることを明確に認識している」という論点については、ブログのエントリで後に詳細に示しておいたこれはかなり多くの人にシェアされ、いろいろなところで議論に使われたようだ。

2月1日の出演は、堤さんのご紹介で、1週間以上前から決まって準備してきており、この日の未明にかけて、二人目の人質の殺害という痛ましい結果になったことを受けて出演したわけでも、このような事態に終わると予想していたわけでも全くない。

しかし偶然、日本でニュース番組が少ない日曜日に事件の結末が明らかになr、その直後の出演であったため、2月1日のこの番組は、BSにしてはかなり注目されたようだ。

今回のチュニジアのテロについての、これまで私が見た限りのテレビ報道では、そもそもチュニジアについてほとんど全く何の知見もないことが明らかな「専門家」の不確かな議論が目立った。

私が事件のひと月前にチュニジア調査をしていたというのは偶然にすぎず、半年ほど前に安いチケットを買って、この時期にチュニジア調査に行くと決めていたから行ったというだけである。しかし結果としてこの事件の直前のチュニジアの情勢を直接見聞きした数少ない日本人になってしまったので、その知見から言い得ることを、少しでも伝えられればいいと思っている。

今回の出演では、そもそもチュニジアの社会と政治はどのようなものなのか、日本で伝えられてこなかったチュニジアの政治変動と民主化はどのように進んできたのか、チュニジア政治の現状とチュニジアの置かれた国際関係の中で、今回のテロ事件はどのような意味を持つのかを考えてみたい。

また、「イスラーム国」やそれに共鳴して傘下入りを試みている内外の諸武装集団が、チュニジアをどのように見ているのか、どのように攻撃の対象としているのかも、検討してみたい。

このような見方は、思想史と比較政治学を用いてイラクとシリアの「イスラーム国」を分析した『イスラーム国の衝撃』と同じか、その延長線上にある。ただし、チュニジアを調査地に選んだ理由は、「イスラーム国」がこれまで伸長できなかった、浸透できなかった国に対して、イラクやシリアでの、あるいはイエメンやリビアでの「イスラーム国」と関連する組織の動きがどのような波及効果や影響をもたらすのか、というところが、次の大きな課題になると考えていたからである。その意味で、ぼんやりと感じ取ってはいたものの、やはり今回の事件は私の予想より早く、想像より大きな規模で、グローバル・ジハードの影響がチュニジアに及んだと言わざるを得ない。背後にある勢力とその意図が何なのか、できる限り情報を精査して考え直してみたい。

また、チュニジアを渡航先に選んだのは、危険の兆しが表れていたと言えども、やはりチュニジアがアラブ世界の中の比較の上で非常に安全だから、その安全な場所を拠点として、非常に危険であって私の持つ資源では身の安全を確保し得ないリビアやイエメンの動静を見る、という意味があった。

しかしそうしていたところ、チュニジアの中心にテロが及んでしまったわけで、やはり私の想像を超えた動きであったと認めざるを得ない。その程度の予見力しかないぼんやりとした人間のぼんやりとした知見だが、何かの役に立つことを願っている。