【日めくり古典】モーゲンソーにとっての政治と宗教

前回に引き続きこれ。


モーゲンソー『国際政治(上)――権力と平和』(岩波文庫)

「政治的リアリズムは、人間性にはいろいろな側面がある、ということを認めるとともに、これら諸側面のうちのひとつを理解するためにはわれわれがその側面独自の条件でそれを扱わなければならない、ということをも承認する。すなわち、私が「宗教人」を理解したいと思えば、私は、人間性の他の諸側面から当分の間離れて、その宗教的な面を、あたかもそれが唯一無二の側面であるかのように扱わなければならないのである。そのうえ私は、宗教の領域に対しては、その領域に妥当する思惟基準を適用しなければならない。しかもその場合、私は、他の基準の存在と、人間の宗教的な属性に対してこれらの基準が実際に及ぼしている影響についてつねに知っている必要があるわけである。人間性のこの側面についていえることは、他のすべての面についてもあてはまる。」(原彬久訳、上巻、66−67頁)