【日めくり古典】ヨーロッパ古典外交の成熟と・・・

まだこの本ですよ。


『モーゲンソー 国際政治(中)――権力と平和』(岩波文庫)

道義的コンセンサスがあるがゆえに、西欧の国家間の政治的争いが「控えめで節度があった」時期の例として、モーゲンソーは具体的に「一六四八年からナポレオン戦争に至るまで」と「一八一五年から一九一四年に至るまで」を挙げています(126頁)。

これは「ヨーロッパ古典外交」の形成期と成熟期ですね。

ヨーロッパ古典外交の華やかなりし時代には、「バランス・オブ・パワーは、単にその原因であるのみならず、それを具体化するための技術であるとともに、その比喩的かつ象徴的表現でもあるということである。バランス・オブ・パワーが、相反する諸力の力学的な相互作用をつうじて諸国家の権力への欲求を拘束する前に、まずは、競争している諸国家が、彼らの努力の共通枠組みとしてバランス・オブ・パワーのシステムを受け入れることによってみずからを拘束しなければならなかった。」(許世楷翻訳分担、原彬久監訳、中巻、126頁)

モーゲンソーに触発されて、日本で著された、古典外交についての古典的な著作が、これです。


高坂正堯『古典外交の成熟と崩壊I 』(中公クラシックス)