【寄稿】『公研』10月号の「独裁の政治学」をめぐる対談をウェブに公開

『公研』に寄稿しました。サザンメソジスト大学の武内宏樹准教授(政治学・中国政治)との対談です。

武内宏樹・池内恵「独裁国家の仕組み」『公研』2016年10月号、通巻第638号、36−67頁

長大です。32頁に及びます。『公研』の過去の対談の中でも群を抜いて最長とのこと。

2時間半ぐらいしゃべったのではないでしょうか。中東や中国を政治学から見る際の厄介な問題について、論文に直接は書かないが論文を書く際に頭を悩ませていることについて、学会に行って空き時間に喫茶スペースで延々と喋っているようなことをそのまま文字にしてあります。

『公研』は、官庁やメディアの一部で知っている人は非常によく知っている、知らない人は全く知らない、一般的には全くと言っていいほど知られていない媒体です。しかし研究者の普段話している、考えていることを、ほとんどそのまま書いたり話したりしても載せてもらえる、数少ない媒体となってきました。そのために、一部の人には非常に注目されています。

以前に、待鳥聡史先生との対談が載った時も、密かにこの欄でお知らせしたことがあります。

『公研』は公共産業研究調査会の会員企業にのみ配られるため、書店などでは市販されていません。また、ウェブサイトでも記事を載せておらず、最新号バックナンバーの表紙と目次が見られるのみ。

今回、編集部の許可を得まして、武内先生のホームページにアップロードしていただいていますので、どなたでもお読みいただけます【本文はこちらから】

【一ヶ所訂正。最後の67頁上段でサウジの「プラン2030」とあるのは、もちろん「ヴィジョン2030」のことです。なにしろすごい勢いで二人とも喋っていますので、「国家改造のマスタープランとして発表されたヴィジョン2030とその当面の行動計画」というような意味で複数のことを同時にまとめて話したことを、速記に手を入れる際になんとなく「プラン」としてしまい、校正でも気づかずにそのままになってしまいました(対談の時も、校正の段階でもいずれも、最後の頁までくるともう疲れてきていましたので・・・)。まあサウジの個別の話をするのはこの対談の目的ではなく、政治学上の、独裁国家の安定性と不安定性を見るための理論的な難しさについてひたすら考えておりましたので、こういった細部についてはあまり気を配っていません。本質に関わらない細かな言い間違いも含めて、学会の空き時間とか懇親会での会話を記録するような趣向とお考えください。】