『中東戦記』が少部数のみ増刷に

ほぼ品切れで、店頭に残ったもののみになっていた、ジル・ケペル著『中東戦記  ポスト9・11時代への政治的ガイドブック』(池内恵訳、講談社選書メチエ)が、600部という少部数で増刷が決まりました。4月27日には店頭に出回る予定です。

ケペル『中東戦記』

邦訳で副題につけたように、中東の政治・社会を読み解くための、最高度の専門家の目を通した不滅の「ガイドブック」です。

「ジル・ケペル『中東戦記』を、市場からなくなる前にどうぞ」(2015/04/04)と書いておきましたが、もともと出版社の元にはほとんど残っておらず、書店の棚にあったものが売れて、入手が難しくなっているようです。

少部数のみの増刷で、もう増刷されない可能性もあるので、ご要望の方は今のうちにアマゾン書店でご予約を。予約していただければ27日頃に届くと思います。

イメージは「名著復刻」の企画みたいな感じですね。

しかし600部というと、講談社のような大きな出版社にとっては、増刷にかかる労力と売り上げ(もし売れたとして)を比較考量すれば、持ち出しみたいなものだ。よく増刷してくれた、と思うとともに、そこから翻訳者に回ってくる印税など微々たるものなので、ここまでの小規模ロットで出荷できるようになると、末端の書き手にとってビジネスとして成り立つのか?という疑問は沸きます。私は今のところ原稿料収入で生活しているわけではないので、公共の情報提供として採算を考えずにやっているが、将来はどうなるかわからないので、水準を保った文章を書く職業が存在し続けられる経済環境が維持されるか、発展するかは気になります。

しかしともあれ、こうして本が生き続けることはうれしい。