チュニジアのウクバ旅団の脅威についてのJane’s事前の予測

昨日は、チュニジアのテロに関して、関与が疑われる最有力候補としてのウクバ・イブン・ナーフィア旅団について、それが「イスラーム国」の一部と言えるのかどうか、「アンサール・シャリーア」など他の組織との関係はどうかなど、混乱の所在と論点を提示したが、まだまだ議論は尽きない。

チュニジアという日本でよく知られていない国であるために、そもそもウクバ旅団について報道で名前さえ触れられないので、議論がしにくい。例えばJane’sのこの記事などを読むと、多少は整理されるのではないか。

“Katibat Uqba Ibn Nafaa recruitment efforts increase risk of terrorist attacks in urban centres in post-election Tunisia,” IHS Jane’s Intelligence Weekly, 20 November 2014.

しかし昨年11月の段階で、(1)新政権は世俗派主体である、(2)内務省の取り締まりが強まる、(3)アンサール・シャリーアの中からより多くがウクバ旅団の武装闘争に関心を移す、(4)リビアやシリアから帰還兵が帰ってくるとウクバ旅団の戦闘能力が増す、といった理由から、チュニジアの中心部でテロの可能性が高まり、カスリーン県などで攻撃が強まる、と予測しているのはさすがである。

しかしここでも観光客を狙うという可能性には触れられていない。

政府機関や治安関係の施設が狙われることは当然予測されていて、政府ももちろん対策を取っていたのだが、そこでソフトターゲットに移る、というところは常道ではあるが、リアルタイムで予測するのは難しい。テロをやる側も意図を隠すからである。

一部を貼り付けておこう。

FORECAST

A new coalition government led by the secular Nidaa Tounes party is likely to continue the security crackdown on religious extremism in an attempt to mitigate the risk of domestic terrorism. This effort is likely to lead to further defections from Ansar al-Sharia to Uqba Ibn Nafaa and accelerate the return of Tunisian militants from Libya and Syria, which is likely to increase terrorism risks in urban centres in the one-year outlook. The return of jihadist veterans will probably improve the group’s organisational and combat capabilities. Uqba Ibn Nafaa is likely to attempt to launch attacks against government officials, buildings, and security assets in Kasserine, Kef, Kairouan, Sidi Bouzid, Ariana, Sfax, Gafsa, and Tunis with both shooting and IED attacks.