【地図と解説】FAAの飛行禁止・警告エリアで見るグローバルなジハード組織の広がり

昨日は24日に消息を絶ったアルジェリア航空AH5617便をめぐって、米の連邦航空局(FAA)が飛行を禁止している国の地図を紹介しました(ハアレツ紙)

ただ、ハアレツ紙の示した地図は大雑把で、例えばエジプト全体が禁止地区に塗られているなど(カイロ発着の米国航空会社の便が禁止されているとは聞いていないので)、不正確な部分があります。

(1)飛行禁止と高リスクの警告の違い
(2)国全体か、国の中の特定の地域か
(3)一定の高度以下での飛行禁止か、高高度でも飛行禁止・警告か

といった点がハアレツ紙の地図では分からないなーと思っていたら、すでにNew Republic紙が、7月17日のマレーシア航空機撃墜事件の直後にもっと詳細な地図を出してくれていました。

“MAP: Every Dangerous Place Where Airplanes Aren’t Supposed to Fly,” New Republic, July 18, 2014.

こんな地図です。

FAA_Ban_flights_New Republic - コピー

赤線(禁止)、オレンジ(警告)に色分けしてくれています。エジプトは全土ではなくシナイ半島だけ。

記事の下には、FAAの発出したNOTAMs (Notices to Airman) の文面へのリンクも貼ってくれていますので便利。飛行禁止・警告の該当地域や高度が特定できます。

イスラーム主義・ジハード主義の武装勢力が携行式や移動式のミサイル・ロケット弾などを入手し始めていることが、多くの場合に関係しています。

マリもそうですが、リビア、シナイ半島(エジプト)、シリア、イラク、アフガニスタン、イエメン、ソマリア、ケニアが、アル=カーイダ系など各種ジハード主義派が広がるエリアです。

シナイ半島については以前にもこのブログで紹介したことがあります。

エジプト軍ヘリ撃墜で「地対空ミサイル使用」の恐怖(2014年1月27日)

イランは、アメリカと国対国で敵対していることが根幹にあるのでちょっと別ですね。イラン・イラク戦争中の1988年、アメリカの軍艦がイラン国営航空機(655便)を撃墜したことがありました。今はロシアのプーチン大統領がひどく苦しい言い逃れを強いられていますが、当時のアメリカも同じような状態でした。