『クーリエ・ジャポン』6月号の巻末特別付録「知性を鍛える「教養書」100冊ブックガイド」に、国際情勢を読む10冊の本を紹介するコメントを寄稿しました。
「激動する世界情勢の「背景」と「未来」を知るための名著」(選者 池内恵)『クーリエ』2014年6月号特別付録、4-5頁
(外国語のものは)翻訳が出ていて、日本で絶版になっていない本、という条件のため制約があるのですが、その枠内で10冊選び、それぞれに短いコメントをつけています。
選んだ本の例は・・・
イアン・ブレマー(北沢格訳)『「Gゼロ」後の世界 主導国なき時代の勝者はだれか』(日本経済新聞社)
アーロン・L・フリードバーグ(佐橋亮訳)『支配への競争 米中対立の構図とアジアの将来』(日本評論社)
ルチル・シャルマ(鈴木立哉訳)『ブレイクアウト・ネーションズ 大停滞を打ち破る新興諸国』(早川書房)
(文庫化されました)
(Kindle版)
・・・など。
米の覇権の希薄化、米中対立の行方、新興国台頭の終わり、というあたりの国際的な議論で主要なものはやはり訳されているのですね。
今後の世界情勢を見る指針としては、
フランシス・フクヤマ(会田弘継訳)『政治の起源 人類以前からフランス革命まで』(講談社)
が示す、
「国家形成」「法の支配」「説明責任」の有無は、先進国でも途上国でも、民主体制でもそうでない体制でも、安定と繁栄の基礎になりそうですね。
もちろん英語圏の概念的に跳躍した議論が常に正しいというわけではなく、ある国や地域をじっくり見て、歴史を踏まえて趨勢を読み解いていく地道な作業は、日本の専門家の得意とするところではないかと思います。
その意味で、
津上俊哉『中国台頭の終焉』(日経プレミアシリーズ)
武田善憲『ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか』(中公新書)
(Kindle版)
は勉強させてもらいました。いずれも新書で書き下ろしという日本独自のフォーマットで、お得でした。
その他のセレクトやコメントは『クーリエ』6月号の巻末付録で。キリトリできます。