ガザ情勢のライブ・アップデートはこちらから

ガザ情勢について、停戦期限が切れた後の詳細な状況は、イスラエル紙のホームページあるいはアルジャジーラなどの国際衛星放送ホームページのライブ・アップデートで分かります。

タイムズ・オブ・イスラエル
Truce ends with rocket fire after Hamas rejects calls to extend it

Yネット・ニュース
Updates

ハアレツ紙(有料)
LIVE UPDATES: Rocket fire resumes as cease-fire ends

アル・ジャジーラ・イングリッシュ(情報が雑多なのと、時間表示が現地時間だったり見ている側の時間だったりして分かりにくいなどいろいろバグがある)
Gaza Blog Live

ガザの一時停戦が延長合意ないまま期限切れ──ハマース軍事部門は挑発に出るか

イスラエルとガザのハマースの間の紛争は、8月5日朝8時(現地時間)から72時間の停戦が発効し、ここまで概ね守られてきましたが、8日朝8時(日本時間では午後2時)に期限が切れます。あと10分を切りました。

イスラエルは停戦の延長を提案していますが、カイロで行われている交渉で、ハマースは無条件での停戦延長には抵抗しており、明示的な停戦延長に同意していません。

ハマースの軍事部門は「ガザの封鎖解除(検問所の再開)」「6月にヨルダン川西岸で逮捕された活動家の釈放」の条件が受け入れられなければ停戦の延長は拒否し、期限切れと共に攻撃を再開する姿勢をしめしてきたが、7日のビデオ声明でもこれを再確認した。

8月7日午後にもガザで集会を開き、「交渉で妥協するな」と気勢を上げていました。

朝8時の期限ぎりぎりまでパレスチナ人諸勢力とエジプトがハマースを説得するものとされてきましたが、8日朝6時台のアルジャジーラの報道でも、依然として停戦延長に同意していないようです。

期限切れと共にハマースのロケット攻撃があるのではないかとイスラエル側は臨戦態勢でいるようです。

イスラエルはすでに主要な目標を達成していると思われるので、ハマースが戦闘能力を見せるたびに報復を行い続けるでしょう。イスラエルとしては停戦をしてもかまわないが、ハマースとしては「経済封鎖解除」というガザ市民の総意の要求についてなんら成果なしに停戦を続けては、これだけの犠牲を払った価値がないと突き上げを受けかねません。

かといって戦っても勝ち目はなく、「一般市民の犠牲」をアピールしてイスラエル側の評判を落とすことしかできません。ガザにプラスになるような成果を出せそうもない点が限界です。

経済封鎖はガザのハマースとイスラエルの関係というよりは、ハマースとエジプトの関係に深く関わっているので、ここで関係が険悪である以上、そう簡単に解除されないのではないかと思います。

流れとしては収束に向かっていますが、間歇的な衝突の可能性は高いままです。停戦しては衝突、を繰り返す期間が当分続くかもしれません。

【テレビ出演】本日夜10時、NHK-BS1「国際報道2014」に出演──テーマはトルコ大統領選挙

本日夜10時からのNHK-BS1「国際報道2014」にスタジオ出演して解説する予定です。

テーマは8月10日投票のトルコ大統領選挙。トルコ共和国史上初の直接選挙による大統領選出です。ここにエルドアン首相が鞍替え立候補し、圧勝する構えです。

最近の2つの世論調査でも55%程度の支持率で、決選投票にずれこまずに、第1回投票で過半数を得て勝利するかどうかが焦点となっています。

エルドアンは非常に大きな実績と功績を誇る傑出した政治家ですが、政権が長期化し軍や司法を抑え込んだ後は、政権の汚職や強権化が批判されています。しかしエルドアンの支持層は分厚く、公正発展党(AKP)の組織も盤石で、選挙をすれば常に勝てる状態です。

イメージ的には、55%が常に支持して選挙では常に勝つのに対して、残りの45%が強く反発して「反エルドアン」で結束しかけており、デモや国際世論の圧力を通じた政権打倒を目指すなど制度外での反対運動を激化させ、国論が分裂しているという状態です。

エルドアンが直接選挙による大統領になって、議会の制約からも超越して、得意の開発政策・大国外交を推し進めることには西欧諸国から危惧の念が表明されています。

ドイツの代表的な雑誌『シュピーゲル』ではカバーストーリーにエルドアンを特集。「エルドアンの国家(Der Staat Erdoğan)」と銘打って、国家権力の独占を危惧しています。

Erdogan Der Staat_Spiegel 32_2014_August 4
Hasnain Kazim and Maximilian Popp, “One-Man State: Presidential Election Set to Seal Erdogan’s Supremacy,” Spiegel Online International, August 6, 2014.

ドイツには400万人以上のトルコ系移民・労働者がいます。この特集はドイツ語とトルコ語の二原語で書かれているとのこと。表紙にも「Erdoğan Devleti」とトルコ語が併記してあります。

いつも通りエルドアンはこれを欧米の陰謀と非難。

Erdoğan accuses Der Spiegel of seeking to foment chaos in Turkey, Today’s Zaman, August 7, 2014.

ザマーンは、エルドアン政権と袂を分かって激しく対立するギュレン運動系の新聞ですので、エルドアンに対して意地悪です。

独裁化する、と危惧されていると言ってもそう非難するメディアの存在が可能であるわけで、実際に独裁化しているとは言い切れない。別に反対派を大量虐殺しているわけでもない。むしろ検察が大規模に政権の汚職を摘発している。

ただし政府のメディア(特に国営テレビTRT)が全面的に「本日のエルドアン」ばかり流しているように、公平とは言えません。検察・警察幹部を大量に更迭・配置転換して汚職捜査を妨害するなど、法の支配を貫徹しているとは言えません。

エルドアンの「野望」については、『フォーサイト』に寄稿したことがあります。

池内恵「エルドアン首相はトルコの「中興の祖」となれるか」『フォーサイト』2014年3月19日

「フラジャイル5」の「筆頭」に数えられてしまい、先行き不安が語られるトルコ経済については、このブログで連続して解説したことがあります。まだ書くことはあるのですが忙しくて途中になっていますが。

トルコはもう「三丁目の夕日」じゃないよ(2014年1月22日)

トルコ経済はどうなる(1)深夜の果断な利上げ(2014年2月10日)

トルコ経済はどうなる(2)テーパリングって何だっけ(2014年2月11日)

トルコ経済はどうなる(3)「低体温化」どうでしょう(2014年2月12日)