グローバル化が進展すると人の動きが活発になるが、同時に人の動きを妨げるフェンスの設置や、国境管理の復活も生じてくるという話、前回からの続き。
国境フェンスや分離壁・壁の設置は、ヨーロッパの各種境界に現れるだけではない。Economistが、世界規模でまとめてくれている。
出典:“More neighbours make more fences,” The Economist, 15 September 2015.
赤がすでに完成したか建設中のフェンスや分離壁。緑が計画段階。
フェンス等の設置理由は様々で、朝鮮半島の南北のような、冷戦時代から続いている分断国家の緩衝地帯もある。南北キプロスもよく見ると描いてありますね。
グローバル化への対応として出てきたのが、経済移民の制限のための国境管理の一環としての物理的な障壁となる有刺鉄線やフェンス。米国とメキシコの国境が代表的。米国は移民国家だが無尽蔵には受け入れられない。不法移民と取締当局のいたちごっこの中で、フェンスや防護壁が作られては破られる。
そして最近の、難民そしてテロの阻止のための防御壁やフェンス。堀みたいのもある。
これが中東に多くできてきている。Economistの記事はより詳細な地図も提供してくれている。
今年3月のチュニジアのテロの後には、リビアとの国境への分離壁建設が着手された。エジプトはガザとの間に分離壁を建設中。同様にサウジアラビアもイエメンとの間にフェンスを築いてしまおうとしている。
シリアとイラクはもう壁で囲って外に漏れ出さないようにして放置しようとでも言うのか。
「分離壁」と言えば、最も悪名高いのがイスラエルがヨルダン川西岸やガザを囲んで建設した壁でしたが、あまり問題視されないようになりましたね。世界中で常態化したからか。
一つ一つのフェンス・防御壁の事例を、国名とキーワードで検索してみると面白いですよ。いろいろな形態があり、有刺鉄線から壁まで、土塁や堀みたいなものまであり、古代や中世の築城技術とハイテクを組み合わせたような、近未来的かつミレニアム先祖返り的な世界が、末端では生じてきている。