3月18日のチュニジアでのテロについて、情報を取りまとめております。この事件の直接的な背景が何であったのか、この事件をきっかけにチュニジアや北アフリカに今後何が起こってくるのか、考えています。
そもそも、チュニジアを中心とした「アラブの春」によって政治変動が様々に起こった諸国について、現在本を完成させる途中であり、そのためにチュニジアそのものについての情報のとりまとめと発信は後回しになっていました。
しかし、事件から1ヶ月前の2月18日に当時滞在していたチュニスから、下記のエントリをフェイスブックに投稿していました。基本的には、今回の事件は、このような文脈で起こってきたものと考えています。チュニジアのテロ事件の政治・国際政治上の文脈について問われれば、簡潔には今でも下記のようにお答えします。
以下に再録しておきます。「半年」といった広い範囲での予測・警告しかできないことは、私の力不足ではありますが、社会・政治を見る学問の可能性の限界でもあると考えています。
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202680339168675
2月18日
#リビアのイスラーム国
リビアは「イスラーム国」からの「帰還兵」の聖域となるのか
リビアで最近急に「イスラーム国」の活動範囲が広がった背景として、「イスラーム国」中枢がシリアやイラクで活動に参加していた北アフリカ系の人員をリビアに投入している様子が伝わって来る。
幾つかのエジプトの新聞は、サウジの『リヤード』紙の17日の報道を引いて、バグダーディーはリビアのシルトに小規模の部隊を送り込んだと報じている。部隊の司令官はチュニジア人で、チュニジア政府が帰還を認めないのでリビアに流れたという。カダフィの周りで雇われていた傭兵がこれに参加しているなど、興味深いが事実かどうか判断しようがない、ありそうな話が書いてある。リビアを聖域にして北アフリカ系の武装集団を集結させると、チュニジア、エジプト、アルジェリアが揺らぎかねない。シリアを聖域にしてイラクを揺るがしたモデルを繰り返そうとしているのだろう。これに周辺諸国がどう対応するかを、今後半年は注目していかないといけない。
【追記 3月21日】
このようなリビア発でのチュニジアの過激派の刺激や浸透について、2月のチュニジア現地滞在時のテロ事件を紹介した記事を、明日のテレビ出演のテーマに関する今朝のエントリでも示しておいたが、下記に再び列挙する。2月18日のアンサール・シャリーア系のウクバ・イブン・ナーフィア旅団による内務省・治安部隊員4名殺害の事件と、政府のそれへの対応についてである。
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679909917944
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679919878193
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679929398431
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202679943758790
この前後の動きについては資料は多く集積しているが、整理してお見せする時間が到底ない。一部は明日3月22日の番組の中で口頭で話せるだろう。