昨晩(といってもワシントンDCにいるのでこちらの朝に書いたものですが)、『フォーサイト』の「中東の部屋」欄にイラン核問題交渉の見通しについて寄稿しておきました。
池内恵「イラン核問題交渉の期限が迫る」『フォーサイト』2014年11月23日
P5+1(安保理常任理事国5カ国+独)あるいはEU3+3(EU英独仏+米露中)とイランとの、イランの核開発をめぐる交渉が、11月24日に最終期限とされてきましたが、今年7月半ばの延長以来、ほとんど進展の情報がありません(7月の交渉については「ウィーンで会議は踊ってるのか」(2014/07/15)、「ガザ紛争激化の背景、一方的停戦の怪、来るなと言われたケリー等々」(2014/07/16)あたりを読んでください)。
7月以来まったく交渉の進展の情報が出てこなかったということは、次の二つの可能性が考えられるわけです。
(1)何かすごい裏交渉・秘密交渉が行われていて、情報管制が厳しく敷かれており、突如、歴史的な米・イラン合意が発表される。
(2)単に交渉の進展がないから情報がない。
のどちらかなわけですが、多分後者なんだろうなあというのが通常の見方。
去年11月の段階では、一年間交渉して何も成果が出なければ決裂、戦争か、という危機感・切迫感がありましたが、今となっては、米・イランは「イスラーム国」などで協調しないといけない立場にあるし、交渉を再延長しても、どちらも困らないのではないかな?
かえって交渉を恒久化したほうが、米・イランの閣僚級のチャンネルができて好都合かもしれない。
なんてことを考えて書きました。
こういった憶測などは、クローズドの研究会とか、非公開のレポートを求められると気軽に書いてきましたが、公刊するのは色々な意味でためらわれるので一般向けには書かないできましたが、「交渉は再延長を目指している」という報道が各種出ているのでもういいでしょう。
10月ごろから「再延長の方向性で決まり」と報じていたイスラエルの各紙がやはり正しかったのか。
ウィーンで最後の交渉が行われているところですが、突如、米・イラン秘密交渉で合意、という報道が出てきましたら、喜んで不徳を恥じるところです。