カタールのドーハに出張に行ってきました。いろいろ面白いものを見ることができました。偶然が重なってカリブ海の小さな国の外務大臣との会食に同席したりしていました(ここは本業や渡航目的と関係ないですが)。
今回の日程は「1泊4日」。
現地のホテルに泊まるの一泊だけで、行きと帰りが機中泊、という意味です。
日本時間の夜に出発して(1日目)、現地の早朝に到着し、その日(2日目)と翌日(3日目)に用事があり、夜ご飯を食べた後に現地で日付が変わったぐらい(4日目)の頃の深夜発の飛行機に乗って戻ってくる。日本には4日目の夕方に到着。
これは行きも帰りも深夜発の便がある国でないとできないやり方です。
その点、湾岸産油国は、エミレーツ(UAEのドバイ)、エティハド(UAEのアブダビ)、カタール航空が揃って深夜便を飛ばしていますので、弾丸出張がやりやすくなりました。ヨーロッパ経由だと行きも帰りも一泊して乗り継がないといけない場合がほとんどです。
以前は、西の方に行くというと、「ヨーロッパ回り」か「南回り」という区別があったような気がします。北極圏を飛んでいくヨーロッパ回りの方が、乗継をして中東などに行くにしても快適で比較的短時間で済むが高い。それに対して、日本を飛び立ってまず延々と南に下り、乗り継いだり給油したりしながら中東やアフリカやヨーロッパ方面に向かう「南回り」は時間がかかって、途中で夜中に空港で給油で下されたりしてきついが料金が安い…といった区別があったような気がします。
しかしペルシア湾岸の諸国が、「日本深夜発で現地早朝着、乗継でヨーロッパや中東やアフリカへ」という路線を開拓して、「ペルシア湾岸での乗り継ぎ」という第三の選択肢が定着しました。
この航路を開発したエミレーツの功績は大きいと思います。
最初は成田や羽田の発着枠がなかなか取れなかったので、関空発や名古屋発でやっていましたね。
ペルシア湾岸産油国のハブ機能は、日本・南米間の結節点としても良い位置にあるので、日本⇔ブラジルの日系人の里帰り出稼ぎルートもペルシア湾岸経由が中心になりました。それ以前のアメリカでの乗り継ぎが、9・11事件以後のセキュリティの強化で、トランジットだけでの「入国」にも多大な時間と労力がかかり、乗継に遅れる危険も出るようになったところに、ペルシア湾岸産油国の航空会社が代替肢を示して、シェアを大きく伸ばしたようです。
ペルシア湾岸ではありませんが、トルコ航空も深夜便ができたので、同じような使い方ができそうです。
国際政治の大きな動きと、ペルシア湾岸産油国の独自の開発戦略が、日本と海外のかかわり方も変えることになっています。