世界のエネルギー安全保障に重大な影響を与えるGCC諸国だが、その内紛が激化して心配されていた。
最近の経緯はこんな感じ。
3月4日 GCC外相会議⇒カタールとサウジの対立激化。カタールのムスリム同胞団への支援と、アル=ジャジーラの批判的報道にサウジ・バーレーン・UAEが反発
3月5日 サウジ・バーレーン・UAEがカタールから大使召還を発表
3月25・26日 アラブ連盟首脳会議(クウェート)⇒歩み寄り見られず
3月28日 オバマ大統領サウジ訪問⇒GCC共通の同盟国・保護国であるアメリカとの隙間風の印象拭えず
サウジ・バーレーン・UAE対カタールで激しく対立し、その中間にクウェートとオマーンがいてとりなしているが双方譲らず、という構図だったが、先週あたりから、そろそろ一定の歩み寄りがあるのでは、とうわさされていた。
そんな中、4月17日にリヤードでGCCの緊急外相会合が開かれた模様だ。そこではこんな感じの「手打ち」が行われるよ、という事前の観測記事が出ている。
カタールが何名かムスリム同胞団の活動家とされる人物を国外退去させ、エジプトでの軍政対ムスリム同胞団の抗争で軍政に批判的なアル=ジャジーラの放送を若干控えさせるとのこと。
最終的にどうなったのか、いろいろな情報はありますがまだ定かではありません。
エジプトで軍政支持(およびサウジ支持・反カタール)を鮮明にしている『マスリー・アルヨウム(今日のエジプト人)』紙は4月17日夜にホームページに掲載した記事で、「カタールはムスリム同胞団への支持の停止とエジプト情勢から距離を置く合意で調印した」と、クウェート筋を引いて報じている。
同じく4月18日早朝の報道だが、サウジアラビア資本で、カタールのアル=ジャジーラと競っている衛星放送『アラビーヤ』は、GCCの再結束のための「コンセンサス」が得られたと報じる。
『アラビーヤ』のアラビア語版ホームページに載った記事ではもっと詳しく、カタールはGCC諸国の国民を帰化させない(=各国の反体制派を匿わない)、ムスリム同胞団の団員を追放する、プロパガンダをおこわない(アル=ジャジーラの報道を管制する)、といった点でサウジなどの要求を受け入れたという。合意の実施の方法を話し合うために、約2週間後に再びGCC関係国の外相会合を開くという。
なので、実際に誰を追放するのか、アル=ジャジーラをどの程度統制するのかなどで、また紛糾しないとも限らない。
また情報が出てきたら書いてみましょう。
GCC諸国の政治、特に外交政策は、国王はじめ数名で決まるので、公開性・応答責任はゼロ。
通常の政治学や国際関係論の研究はやりにくい対象です。そこをなんとか、手がかりを見つける人が出てくるといいのだけれど。