昨夜・今朝方、夜更かしして書いてしまいました。書き終わった後に東京地方はぐらっと揺れました。
池内恵「リビア東部の「自治」勢力から石油を船積みした「北朝鮮船籍」タンカーの行方は」『フォーサイト』2014年3月12日
リビアというと「混乱」という印象があるのでしょうが、それに「北朝鮮」が絡んで、しかも「タンカー炎上」などとも報じられているので、日本でも関心があるかと思いまして・・・
しかし人目を引くはずの「タンカー炎上」についての続報がないので、偽情報だったか、そもそもリビア内政がもっと混乱していてそんなことにだれも興味を持っていないのか、とかいろいろ考えますが分かりません。少なくとも11日にザイダーン首相は解任されてしまったし。朝、アル=ジャジーラのホームページをちょっと見たら、議会で不信任されて解任されたザイダーン(前)首相は出国するとか書いてあるので、かなり緊迫しているのかもしれません。まあ、首相が、ほとぼりが冷めるまで逃げる、というだけかもしれませんが。
もしかすると、増強し始めたリビアの国軍が、国民全体会議(議会)も、そこから選ばれた内閣もあまりにふがいない、「決められない」と苛立って権限掌握に出たのかもしれません。
問題はリビアの国軍に並び立つ規模の民兵集団が無数にいることなので、単純に軍が権限掌握、とは言えない。最近も軍の将校が「クーデタ」宣言をして、誰もついてこなかった、などという事態もありましたし、リビアの場合、エジプトなどとは異なり、決定的に強い勢力がいないために、だらだらと混乱が続いています。
しかし国軍の増強のために支援をすると、今度は軍が独裁化するかもしれないし、難しいところです。
私の印象では、「リビアは意外にうまくやっている」のですが(大規模な内戦にもなっていないし、分離独立する地域もない、「自治」だけ)、現在の状況はそれよりも流動化しているのかもしれない、と思って注目しています(が、他にもやることが多くあるのでずっと見ていられません)。
以下、本文の一部を・・・
まだ未確認情報だが、リビア東部シドラ港で、リビア政府の意向に反して石油を積み出して公海上に出たタンカーが、ミサイル攻撃を受けて炎上している、という。
ただし、これは今のところ『リビア・ヘラルド』というカダフィ政権崩壊後にリビアで創刊されたもっとも水準の高い新聞(ただしすべての記事に信憑性が高いとは言い切れない)が速報で報じただけであり、アル=ジャジーラなど速報性の高いアラビア語メディアのホームページでも報じられていない(日本時間3月12日午前3時現 在)。【 “Oil tanker allegedly on fire in international waters,” Libya Herald, March 3, 2014】
もしこれが事実なら、リビアの暫定政権にとって、国家財政と国民経済の根幹をなす石油産業を掌握できないという印象を決定的にし、大きな打撃となる。
2011年の『アラブの春」で、内戦の末に最高指導者カダフィとその一族を打倒したリビアだが、新体制への道のりは険しい。
反カダフィで立ち上がって、内戦で功績を挙げた各地の民兵集団が武器を手放さず、選挙で選ばれた国民全体会議(GNC)による暫定政権の指令に従わないどころか、しばしば武力で意志を押し通そうとし、移行期の政治プロセスの基本的な制度や工程表の次元で改変を迫るため、新体制設立への道のりはなかなか前進しない。
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以下は池内恵「リビア東部の「自治」勢力から石油を船積みした「北朝鮮船籍」タンカーの行方は」『フォーサイト』2014年3月12日で・・・