【寄稿】『国際問題』巻頭に「宗教と国際政治」について

『国際問題』に、巻頭エッセイを寄稿しました。今号の特集は「宗教と国際政治」で、エッセイのタイトルもそのまま「宗教と国際政治」として、研究動向の大きな流れを描きました。

池内恵「宗教と国際政治『国際問題』第675号, 日本国際問題研究所, 2018年10月, pp. 1-5.

論文へのダイレクトリンク
来月に次号が出るまでは、日本国際問題研究所の非会員でも無料でダウンロードと印刷が可能です。その後も閲覧のみは可能です。

【論文】『社会思想史研究』に冷戦後国際秩序に関する思想史と中東について

論文が刊行されました。

池内恵「冷戦後の社会思想史における「アラブ世界のイスラーム教」という問題」『社会思想史研究』No. 42, 藤原書店, 2018年9月, 9-19頁

昨年、学会の基調講演的なものを多く行ったため、今年度はそれらを論文にして学会誌に掲載していく作業を延々と続けています。

先ほど別のエントリにも記しましたが、時間がなくてブログを書けない時も、主要論文は固定ページの「論文」欄に厳選して掲載しています。

【インタビュー】朝日新聞GLOBE+に中東情勢の全体状況について

少し遅くなりましたが、インタビューの掲載情報です。

「各国の言い分を「宣伝戦」と引いた眼で見る 池内恵氏の「中東を読むヒント」」朝日新聞GLOBE+, 2018年9月14日

GLOBE+は朝日新聞の日曜日に挟み込まれている国際情報誌GLOBEのウェブ版という位置づけです。

【更新中】主要論文は固定ページの「論文」欄に

ここのところブログの更新が途絶えていました。公的にも私的にもさまざまなことが重なって積もっており、整理しないといけないことが多く、なかなか時間が取れません。

ですが、主要論文については、固定ページの「論文」のところに書き込んでいっています。2017年度は様々な学会の基調講演的なものを行ったので、その成果を論文化する作業を2018年度は行っており、それらが順に活字になって手元に届きます(非会員だと送ってくれない学会もありますが)。今年度中にあと三つか4つほどこの欄に項目が増えそうです。

ここのところの活動について近くまとめてアップしたいと思います。

【寄稿】新潮選書のフェアのパンフレットにエッセーを

5月25日に、新潮選書『シーア派とスンニ派』が発売されます。都内の早いところでは23日から書店に置かれるそうです。

ちょうど「新潮選書ベストセレクション2018」のフェアが各地の書店で開催されていまして、前作『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』もベストセレクションのリストに入っております。

これに合わせて、書店に配布される新潮選書のパンフレットにエッセーを寄稿しました。担当編集者によるインタビューの形です。このパンフレットは新潮社のPR誌『波』の6月号にも挟み込まれると思います。

池内恵「やわらかい頭で中東を知りたい人に」『新潮選書ベストセレクション2018』2018年5月(1−4頁)。

編集者とのQ&Aのスタイルで、この本の意図や、「中東ブックレット」のシリーズとしての目標、また中東情勢分析の基本ツールや、SNSによる情報収拾や読者とのコミュニケーションなどについて、かなり長く語っています(実際には編集者と書面でやりとりしましたが。本そのものを書くので忙しくて時間がなかったものですから)。『フォーサイト』での連載以来、私の担当をしてくださっていて、日々のFacebookやTwitterでの活動などもウォッチしておられる編集者ですので、的確な設問で、隙間時間にあっという間に、語るようにかけました。

なおこの新潮選書のパンフレットは、挟み込まれる『波』本体と比べてもなかなか質が高いものです。新潮選書の今月の新刊、牧野邦昭『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』については、猪木武徳先生と筒井清忠先生がエッセーを寄せています(猪木武徳「『ゆがめられた通説』に挑む」、筒井清忠「エリートは『暗愚』だったか」)。

この著者の前作も読んだことがあります(こちらは中公叢書)。こちらも「秋丸機関」をめぐるものです。

「秋丸機関」の戦時経済分析については一部でよく知られていますが、「正しい分析をした経済学者」「都合の悪いものだったから軍部が焼却した」という勧善懲悪的な構図で論じられがちです。

しかし猪木先生と筒井先生のエッセーをも読むと、牧野先生の新刊は、その通説を問い直して、開戦に踏み切った判断の作られ方について新たな説を打ち出したものであるようで、大いに楽しみです。

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ちょうど2年前の2016年5月に『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』を出版した時も、ベストセレクションのパンフレットに書かせてもらいました。また、昨年9月には新潮選書の創立50周年を記念して『波』に選書について寄稿しています。

『シーア派とスンニ派』で、「中東ブックレット」がシリーズ化されたことになります。このフォーマットを使って、選書という媒体を用いた出版と情報発信の可能性を追求してみたいと思います。

【寄稿】『ブリタニカ国際年鑑』の「イスラム教」の項目を本年も

『ブリタニカ国際年鑑』の「宗教」の項目の中の「イスラム教」を、今年も執筆しました。

池内恵「イスラム教」『ブリタニカ国際年鑑』2018年版、2018年4月, 210−211頁.

『ブリタニカ国際年鑑』のこの欄を執筆するのは、今年で5年目。今年は、次の3点を重要事項として選定しました。

「イスラム国支配の終焉と小規模テロの拡散」
「トランプ政権のムスリム入国禁止と法廷闘争」
「啓蒙専制君主による改革の呼号」

ちなみに、過去4年間には次の事項を選んできました。

2017年版
「グローバル・ジハード現象の拡散」
「反イスラム感情とトランプ当選」
「イスラム教は例外か」

2016年版
「『イスラム国』による日本人人質殺害事件」
「グローバル・ジハードの理念に呼応したテロの拡散」
「イスラム教とテロとの関係」

2015年版
「『イスラム国』による領域支配」
「ローンウルフ型テロの続発」
「日本人イスラム国渡航計画事件」

2014年版
「アルジェリア人質事件」
「ボストン・マラソン爆破テロ事件」
「『開放された戦線』の拡大」

【論文】『政治思想研究』に米国のイスラーム認識・言説の変化について

政治思想学会の学会誌『政治思想研究』に論文が掲載されました。

池内恵「米国オバマ政権末期におけるイスラーム認識の新潮流──「イスラーム国」の衝撃を受けて」政治思想学会編『政治思想研究』第18号(2018年5月)71−106頁

目次はここから

【アマゾン『政治思想における「保守」の再検討 (政治思想研究第18号)』

【寄稿】『中東協力センターニュース』に「1979年以前のサウジアラビア」にまつわる言説について

『中東協力センターニュース』4月号に、近年に高まる「1979年以前のサウジアラビア」という政治言説について、分析を寄稿しました。

池内恵「ムハンマド皇太子と『1979年以前のサウジアラビア』」『中東協力センターニュース』2018年4月号,  28 −41頁

近年に、サウジアラビアをめぐる言説の中で、支配的な要素となりつつあるのが、「1979年以前のサウジアラビアは、宗教的に寛容で、女性も社会参加をしていた」という言説です。

これは研究史から見て全く無根拠とは言えないのですが、かなり意図的に歴史認識を変更しています。国際テロリズムとジハードの関係、その背後の国家の支援や社会の規範に関する限り、「歴史修正主義」とすらなりかねないものです。

この言説が世界の言説空間に広まったのは、サウジのムハンマド皇太子がこれを用いたからですが、それをニューヨーク・タイムズ紙のトマス・フリードマンがどのように「援護」したか、代表的な論説を特定して、その言説を分析しました。

 

【寄稿】『中東レビュー』にエルサレム問題について

アジア経済研究所の研究雑誌『中東レビュー』に、米中東政策についての分析が掲載されました。3月末にウェブにアップロードされました『中東レビュー』第5号の、「政治経済レポート」の中に収録されています。エルサレム問題について、2017年末から2018年初にかけての段階で、少し踏み込んだ分析をまとめておきました。

池内恵「トランプ大統領のエルサレム首都認定宣言の言説分析」『中東レビュー』Vol. 5, 2018年3月, 6-12頁 【雑誌全体を無料でダウンロードできます

『中東レビュー』には編集に助言しながら、なるべく欠かさず投稿し、地域研究と国際政治の手法・知見を踏まえて現状をたゆまず観察し、かつ日々の短期的な動きに追いまくられることなく1年ぐらいのタイムスパンで対象を分析し、論文として育てようとしています。

【寄稿】安全保障貿易情報センターの『CISTECジャーナル』にトランプ時代の中東について

寄稿しました。

一般財団法人安全保障貿易情報センターの『CISTECジャーナル』3月号に、トランプ時代の中東国際秩序について、大まかな見取り図を記してみました。

池内恵「トランプ政権と中東秩序の再編」『CISTECジャーナル』2018年3月号・通巻174号, 111-116頁

ウェブからも読めますが、会員企業のみ、と思われます。

私の論考はともかく、輸出規制に引っかかりそうな品目と相手国との貿易をされている方は、ぜひ入会をご検討ください(ここでは冗談ですが、真面目な話でもあります)。

安全保障貿易情報センターは、3月17日に研究大会に招聘いただいた、日本安全保障貿易学会の事務局になっており、この『CISTECジャーナル』への寄稿も、学会発表の論文の事前草稿のようなつもりで起稿しました。こういった機会に刺激を受けて、少しずつ考えを深めていきます。

3月17日の研究大会では、第1セッションの「日本の安全保障貿易管理の30年」も聴講させていただいたのですが、安全保障貿易管理について政治・制度・学術研究の三つの方面から、発端と発展の経緯を、その道の大家が振り返ってくださる、門外漢にとって非常に蒙を啓かされるものでした。自分の専門分野の成果を持ち寄り、代わりにこういった別の分野の深い専門知識を持った方々から知見を分けてもらえるこのような機会に、学問をやっていてよかったと思います。

【寄稿】ウィルソン・センターのアラムナイ・ページにコメントが掲載

2009年に研究員として滞在したワシントンDC のウッドロー・ウィルソン国際学術センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)が最近立ち上げた、元研究員の同窓会ネットワーク(Alumni Network)の ブログ(Alumni Spotlight)に、コメントが掲載されていました。

“Satoshi Ikeuchi: Impact of the Islamic State and Global Jihadism,” Alumni Spotlight, October 23, 2017. 

2009年後半にウッドロー・ウィルソン・センターに所属して、支給される滞在費(月額を日本円にすると、これまで給料としてもらったことがないような結構な額なのですが)の大部分を費やして、ど真ん中、議会図書館と最高裁判所の裏に陣取り、ワシントンの政策決定の動き方、政策のアイデア競争を支えるシンクタンクとその背後の党派や資金源などをつぶさに観察する機会がありました。

ウィルソン・センターは50周年。大学ともシンクタンクとも違う、米国の政治と学術をつなぐ、類似したもののない独特の制度として定着しています。

2009年の滞在時の経験は、2011年初頭に勃発した「アラブの春」、その後の民主化の試みやムスリム同胞団の台頭、そして「イスラーム国」の出現などに際して、中東の現地の動きだけでなく、米国の反応をよりいっそう仔細に見極めなければならなくなった時に、大いに役に立ちました。「米国の中東・イスラーム政策」が、私のその後の継続的な研究テーマにもなっています。ある程度ながくやっていると、私があるテーマに取り組んで何かをするというよりは、テーマの方が私のことを助けてくれるような、そんな気になることがあります。

2007年だったでしょうか、私を米国に呼びたいとおっしゃる方、お世話してくださる方がいて、いろいろ工夫していただいたことで、ニューヨークとワシントンDCをかなりゆったり回って見聞を深め、ワシントンDCではジョンズ・ホプキンスのSAISに短期間ですが籍を置いたことにしてもらって調査して発表したり、大使館から、DCの学生たちまでの、さまざまな人たちに会うこともできました。

その後、2009年の夏いっぱいを、これまたどなたかが推薦してくださったようで、米国のアスペン研究所(The Aspen Institute)の年に一度の大きなイベントであるAspen Ideas FestivalSocrates Program Seminarに、若い学者・実務家の卵が推薦されて来るAspen Ideas Festival Scholarとして招待していただいて(今どういうプログラムになっているか知りませんが、当時は、ビジネスクラスのチケットが送られてきて、ホテルも会場の一番いいところに用意されていて、高額の参加費は全額免除、義務は、スカラーのリストプロフィールがプログラムに記載され、名札に小さくスカラーと書かれて、会場の好きなところをウロウロしていていろいろなセッションを傍聴して積極的に発言し、議論をふっかけて来る参加者がいたら相手する、という感じのものだったので、最高に恵まれていましたね)、政治家・官僚・学者・ジャーナリストが非公式に意見をすり合わせるための場の設定について、体感したことも、ウィルソン・センターでの調査に先立つ、目を開かせる体験であり、アメリカでの公的な議論の仕方に馴染むための、絶好のイントロダクションとなりました。

ウィルソン・センターやアスペン研究所やSAISなどへの訪問・在籍の機会は、ほとんど(あるいは全く)会ったこともない方々の推薦や尽力があって実現してきたものでした。「池内は中東だけではなく米国もやるといい」という、かなり多くの人たちの後押し、導きがあって、米国の最良の部分に触れられたことは、私の研究にいろいろな形で影響を及ぼしています。

それらの経験を栄養として成果を出し、世の中一般に向けて発表することが、どこかで私の仕事に目を留めてくださって、機会を与えようと取り計らってくださった方々への恩返しと考えています。

【寄稿】東大出版会の『UP』3月号に、「シーア派とスンニ派」および宗派主義の政治について

寄稿しました。

池内恵「中東の紛争は『シーア派とスンニ派の対立』なのか? 宗派主義という課題」『UP』第47巻第3号・通巻545号、東京大学出版会、2018年3月、40−46頁

「中東問題はシーア派とスンニ派の宗派対立である」と、よく言われますが、それは本当なのか。どの部分で本当で、どの部分では本当ではないのか。イラク戦争後のイラク新体制をめぐる紛争と、「アラブの春」後の中東諸国の混乱で、「シーア派とスンニ派の対立」「宗派対立」といった言葉は人口に膾炙するようになりましたが、実態はどうなのか。より適切な分析概念は何なのか。考察しました。

これは次に出る私の本の主題でもあります。

また、この論考は、「文献案内」として、大学の授業などで中東の近年の政治について考えていく際の、副読本のように用いることができるように工夫してあります。「アラブの春」後の政治変動をめぐる文献を、(1)大規模デモによる社会からの異議申し立ての原因や効果、(2)統治する側に回ったイスラーム主義勢力、(3)政軍関係、(4)国際的介入、などに分類して紹介した上で、近年の動向として、(5)宗派主義論の研究が多く現れていることを示してあります。中東について、最新の研究動向を追いながら現実を見ていくようなタイプの授業の、副読本、文献案内となるように考えて書いた論考です。

大学が変化していく中で、必ずしも各教員が自分の専門分野そのものだけを教えるのではなく、変化するニーズに応えて授業をしていくという傾向がある中で、中東現代政治を、大学の教養課程で、今では容易に手に入る英語文献に取り組みながら、勉強していけるための道しるべとして書いてみました。

【寄稿】『季刊アラブ』に、アラブ政治の「啓蒙専制君主」へのトレンドについて

日本アラブ協会が発行する『季刊アラブ』の新年号の巻頭に寄稿しました。特集「2018 中東情勢を読む」の一部です。

池内恵「『啓蒙専制君主』の時代に『イスラーム国』消滅後の中東」『季刊アラブ』2018年冬号, No. 162, 2−4頁

エジプトのスィースィー大統領やサウジアラビアのムハンマド皇太子が、独裁的な統治手法を用いるのと同時に、宗教面での自由化や改革を唱導する趨勢について、それがアラブ世界の政治社会と規範理念の根本的な変化をもたらすのか否か、検討するための歴史・思想的枠組みについて考えてみました。この問題は引き続き要検討、といったところです。アラブ諸国の現実を見る際に一つの検討要素として欠かせないところと思います。

【寄稿】トランプ大統領のエルサレム首都認定宣言について

寄稿しました。

池内恵「米トランプ大統領のエルサレム首都認定宣言」『中東協力センターニュース』2018年1月号, 1−7頁

2017年12月6日のトランプ大統領によるエルサレム首都認定宣言のテキストを、それ以前の米大統領の仲介姿勢と比較して、どこが変わってどこが変わっていないか、まとめておきました。その後の展開についてはまた別の論考で分析していきます。

『PHPグローバル・リスク分析』の英語概要

昨年末に発表した『2018年版PHPグローバル・リスク分析』ですが、各種専門家の間で大変好評だったのですが、「これは英語版も出した方が良い」というご要望がこれまでになく強く寄せられました。これもご時世でしょうか。

元来がこの企画は、英語圏でいくつもこういった年頭のリスク分析・予測が行われているのに対して、「日本にとっての」リスクという観点から独自に日本社会に向けて発信するという趣向なので、英語版は発信していませんでした。

しかし日本からはこのように見えているということを発信しておくことにも意味はあるかと思います。PHP総研が追加の投資を行なって、概要の英語版を作成し、ウェブサイトで公開してくれました。英語版の監修も参加した分析者たちが行なっています。

英語版のダウンロードはこちらから