Al Monitorで読む中東

中東情勢について、ニュースとその「読み方」を知るのに便利なのが、『Al-Monitor』

タイムリーに中東の新聞の論説の翻訳や、代表的な知識人や専門家のオリジナル原稿が載る。

現地のメディアと欧米メディアとの中間ぐらいの線を行っている。

例えばエジプトの最新情勢と、チュニジアとの比較論

このブログの過去のエントリ【これとかこれ】を読んでいた人にとっては、そんなに目新しくはないかもしれないが、これ以外にもイランやシリアやレバノンやトルコなどについて常時報道や論調を的確に紹介してくれているので、情勢の雰囲気や、議論の構図が手早く分かって、非常に便利。

どちらかというとリベラル寄り、だか、すごくイスラエルに批判的ではない。

サウジについてはかなり批判的な論調が多い。マダーウィー・ラシード(Madawi al-Rasheed)というロンドン大学のサウジ政治・政治人類学の有名な先生がしょっちゅう書いている。名前を見ればわかるが、サウド家に滅ぼされたハーイルという首長国を支配していたラシード家の末裔の人なので、「恨み骨髄」というか、サウジアラビアの現体制について良いことを書くことはない。

批判としてはいつも鋭い。ただし彼女の「見通し」となるとあんまり当たらない。いつも今にもサウド王家支配が崩れそうなことを書いているから。

今回の論説「サウジの新しい書き手たちはイスラーム的な解放の神学を提示する」は、サウジの社会の側の変化を取り上げることで、間接的にはサウジアラビア社会の厚みと内側からの変化の可能性を書いているという意味で(つまり単に王家の支配が民衆の支持を失って崩壊するという単線的な変化を近い将来に想定していない)、普段よりマイルドな印象。

米国の中東政策がうまくいかない⇒中東のことを本当には良く分かっていないからだ⇒現地メディアの報道や論調をリアルタイムに反映してくれるメディアが欲しい⇒お金出してくれる財団や個人が出てくる、というメカニズムが働く米国がうらやましいです。

中東について毎日アップデートが欲しい人はぜひこのAl Monitorをチェックしてみてください。

遅れに遅れていた論文がぎりぎり大詰めなので、今日はこれまで。