毎年恒例の、PHP総研で行っている「グローバル・リスク分析」に今年も参加させていただきました。
本日、2017年版が発表されました。こちらから本文をダウンロードできます。
今年選んだ10の項目は次のようなものでした。
Global Risks 2017
- 1.サイバー分野で失われる国際競争力と進行する「植民地化」
- 2.トランプ「勝手主義」に翻弄される世界
- 3.中間層「選挙の乱」矛先はグローバリズムへ
- 4.対外強硬姿勢で国内不安の乗り切りを図る中国
- 5.韓国大統領選とトランプ政権登場で混乱必至の朝鮮半島情勢
- 6.東南アジアで不安定化する米中バランス
- 7.密かに高まる印パ核保有国同士の軍事的緊張
- 8.トランプ政権の政策転換で不安定化する「ポストIS」の中東
- 9.構造的ハードルに阻まれ米露リセットに限界
- 10.重要インフラへのサイバー攻撃の本格化
今回は「サイバーで始まりサイバーで終わっている」(2項目使っている)というのが一つの特徴でしょうか。サイバーについては以前から注目しており、昨年も10項目の10番目(といってもリスクの度合いに順位はつけていませんが)に入れておきました。
しかし今回はこれをかなり強調し、またリスクの所在・源がサイバー攻撃を「行う側」にあることは当然でその分析を進めつつ、「日本側の対応の不十分さ」に重大なリスクが秘められている点を、より強調しています。来年はリスクとしてのサイバー問題が、すでに顕在化したテロなどに比肩するような規模で顕在化し、重大事象を引き起こしかねない、という「潮時」感を醸し出しています。
2012年版から始まったこの企画、私は2013年版から参加させていただいていますが、毎回大変勉強になります。
これぐらい続くと、変化の動向を見るのにも役に立つのではないでしょうか。末尾に2012年版以来の毎年の10のリスクを並べて一覧表にしてありますので、思考実験にお使いください。
世界に存在するありとあらゆるリスクを列挙するのではなく、年頭に「今年」のリスクとして挙げるならこれ、というものを選んでいます。過去の版で指摘しておいて、すでに顕在化し認知されたリスク項目については、今年も依然としてリスクではありつつも、取り上げないことがあります。
以前の版については、以下のエントリもご参照ください。
【発表】『PHPグローバル・リスク分析』2016年版(2015年12月18日)
2015年のグローバルリスク予測を公開(2014年12月20日)
トルコ経済はどうなる(3)「低体温化」どうでしょう(2014年2月12日)