【地図で読む】「アサド朝シリア」を支えるロシア軍基地

今日の地図。

アサド領とロシア軍事支援

“Russia’s move into Syria upends U.S. plans,” Washington Post, September 26, 2015.

記事そのものは、意訳・抜粋すると、「ロシアのアサド政権軍事支援の増強で、米国のシリア反体制派支援は完膚なきまでに終了」といった感じの記事です。

最近いろいろ報道されている、ロシアがシリア西部地中海沿岸地区のラタキア付近やタルトゥースに築いている軍事拠点が概観されています。それによって守ろうとするアサド政権の実効支配領域も。

「アサド政権とは戦わない反体制派を募集して訓練する」という米国の政策があまりに意味不明なので、米国の対シリア政策が失敗することは最初からわかっているのだが、問題はロシアが解決策を提示しているのかということ。

ロシアが自ら泥沼に入って犠牲を多大に出すまでに支援しない限り、アサド政権がシリアの全土の掌握を回復できるかというとこれが心もとないので(だから政権支持層まで難民になって出て行っている)、現実に起こりそうなのは、アサド政権が堅固に掌握した首都中心部や宗派コミュニティの故地ラタキアと両者をつなぐ地域を死守し、分裂が固定化すること。「アサド派シリア」というか世襲王朝化しているので「アサド朝シリア」みたいのができて、それを支えるのが域外大国のロシアという構図になるのでしょうか。

暫定クルド自治区とか、反体制派各種がトルコと米国に庇護されて「自由シリア」の離れ小島に立てこもり、イラク・シリア国境エリアにカリフ制「イスラーム国」が居座るという構図。(そこまではこの記事には書かれていません。地図を見ていろいろ考えましょう)