バルザーニー・クルド地域政府大統領が「独立」を明言

『フォーサイト』の「中東の部屋」にまた一本寄稿しました。

池内恵「「クルド独立」を口にしたバルザーニー大統領」『フォーサイト』2014年6月24日

内容は、CNNのクリスチャン・アマンプールによるインタビューに答えたバルザーニー発言の速報と、背景の歴史解説ですので、英語を読むのが苦にならない方は、CNNの原文を読んでもいいかと思います。

“EXCLUSIVE: Iraqi Kurdistan leader Massoud Barzani says ‘the time is here’ for self-determination,” CNN, June 23, 2014.

バルザーニー発言は6月23日月曜日に放送されたようですが、6月19日のオバマ政権の対イラク政策の決定を受けて中東に急派されたケリー国務長官は、24日にバグダードを訪問し、イラク政府高官やスンナ派の指導者の一部と会っただけでなく、同日に北部のクルディスターン地域政府も訪問してバルザーニーと会っています。独立を思いとどまるように説得した模様です。

「理論的にはありうる」という意味で「想定の範囲」としては十分意識して論じたりしていたものでも、実際に現実になろうとするとやはり驚きますね。

バルザーニーのCNNへの発言より。

“Now we are living [in] a new Iraq, which is different completely from the Iraq that we always knew, the Iraq that we lived in ten days or two weeks ago.”

“After the recent events in Iraq, it has been proved that the Kurdish people should seize the opportunity now – the Kurdistan people should now determine their future.”

【意訳】我々は今、新しいイラクに住んでいるのだ。それは我々が常々知っていたイラクとは完全に別のものだ。10日前、あるいは2週間前と今は完全に異なっているのだ。

最近のイラクでの出来事以来、クルド民族は今こそこの機会を捉えなければならないということがはっきりとした。クルディスターンの民は未来を決めないといけないのだ。