ダッカ事件をめぐって(1)背景と経緯

地図シリーズはほんのちょっと中断して、7月1日(金)の夜9時40分頃(現地時間)にバングラデシュのダッカで起こったカフェの襲撃大量殺害事件について、これまでに書いてきたことをまとめておきましょう。

ここのところ突発的な事件への対応としては、Facebookでコメンタリーを書くことが多くなっています。それは、イスラーム世界をめぐる事件が頻発するのと、本業の論文・授業・講演・単行本の執筆が忙しくて、ブログにログインして書式を整えて書く時間すらなくなっているからです。イスラーム世界ではテロもデモも政変も、現地の休日で週末の金曜日に事態が動くことが多く、ちょうど日本ではテレビのニュース番組がなかったり、新聞が週末編成になって即応性に欠けたり、週明けが新聞休刊日で発行されていなかったりすることから、組織的なメディア企業があまり機能しておらず、その間に私がダイレクトに読者に情報を届けることが恒例化しています。

週末にダイレクトに読者に届けるといっても、その時間は本来は私が論文や本を執筆するために割り当てていた時間なので、ここ数年のように週末ごとのように中東やイスラーム世界で何か事件が起きて中断されると、私の今後に差し支えます。

なるべく連絡コストをかけずに公益に資する情報を提供するには、もっとも時間と労力のかからない媒体を選ぶのが最適ですが、そうすると、今のところはFacebookでしょうか。しかしFacebookでは、アカウントを持っている人しか読めないということや、後から検索してもあまりうまく引っかかってこないので、自分が書いた文章すら、短時間では回収できない、という問題があります。

ですので、これから数日かけて、このブログで、7月1日夜(現地時間)発生のダッカ事件に際して、Facebookや、新潮社の『フォーサイト』で書いた文章をここに採録して、データベースの用に供します。ここに載せないものはFacebookを丹念に見ていくと載っています。

まず、『フォーサイト』では、ダッカの事件に至る、バングラデシュでここ数年断続的に生じてきた、鉈や銃を用いた襲撃・惨殺事件を中心に、背景をまとめました。

池内恵「ダッカのカフェ『ホーリー・アーティザン・ベーカリー』へのテロ事件の要点」『フォーサイト』2016年7月3日

また、現地紙を中心に、初期の報道から興味深い部分をまとめました。

池内恵「ダッカのテロはインドで「イスラーム国」への呼応テロを刺激するか」『フォーサイト』2016年7月3日 13:23

池内恵「ダッカのテロの組織と犯人像(初期の報道)」『フォーサイト』 2016年7月3日 18:00