ムスリム同胞団の問題と限界1:
「だがしかし、同胞団には、これらの利点のほかに、二つの大きな欠陥がある。これについては、彼らの中の進歩派さえ気づいていないが、これに対立する人々だけは充分感づいている。第一は、近代国家あるいはその社会のもつ現実の問題に対して、それを解決することはさておき、それを現実主義的に認識するということが嘆かわしいほどみられないということである。
同胞団はただ保守的であるというのではない。彼らは自ら所有し経営する近代工業を自分たちで建設したり、労働組合を組織したりした。しかし、彼らが出版する資料からは、近代においてなされなければならない責任ある行為は何か、というより錯綜した問題に対する理解が見られない。」W・C・スミス(中村廣治郎訳)『現代イスラムの歴史』(上巻、中公文庫、258-259頁)(2013年8月26日)