『週刊エコノミスト』の読書日記欄に寄稿していました。もう23回目になるんですね。
池内恵「改憲をめぐる憲法学者と政治学者の『一騎打ち』」『週刊エコノミスト』2016年8月2日号(7月25日発売)、59頁
取り上げたのは駒村圭吾・待鳥聡史編『「憲法改正」の比較政治学』(弘文堂、2016年)でした。
「しかし昨夏の安保法制国会可決の際にピークを迎えた「護憲」論には不可解なところが多くあった。護憲派を自認する側が、東大法学部を序列の頂点とする権威主義や、内閣法制局長官に代表される法制官僚による特権的な解釈権を主張して、自らの政治的立場を正当化したのである。これは到底自由主義と呼べるものではなく、偏差値信仰に依拠した擬似封建的な身分制度に基づく特権官僚支配を擁護する立場とすら言っていい」
・・・なんて書いていました。
この現象をイラン・イスラーム革命後のシーア派法学者が保持する三権に超越する権を参照して考えてみました。神の法とその神秘的・超自然的・無謬の解釈能力を持つイマームとその代行者たる法学者という頑強な信仰・理念の体系があり、それが広く庶民に支持されているイランの場合に比して、日本の場合はこのような憲法学者の立場はどのような根拠に基づいているのか。
フェイスブックでは今回の連載寄稿について、二度ほどフォローアップを書いてあります。
告知が遅れてしまったので雑誌は書店にはもう置いておらず、またいつも通りKindleなど電子版には掲載されていないので、アマゾンの在庫へのリンクを貼っておきます。