前項の続き・・・
「シリア北部にクルド人が多く住んでいるなら、独立させてやればいいじゃないか」とか「欧米がサイクス・ピコ協定で勝手に国境線を引いたから」云々の、一知半解の「解決策」を語ってはいけません。
シリア北部には、クルド人と同じエリアに、トルクメン人が住んでいます。この地図では、トルクメン人が住む場所を示しています。
出典:dtj-online.de/syrien-turkmenen-befurchten-vertreibung-2771
シリア北部には、トルクメン人以外に、アラブ人も住んでいますし、さらに他の少数民族も住んでいます。クルド勢力が実効支配することによって、今度はその中での「少数民族」問題が発生しかねません。
トルクメン人は、名前からも類推できるように、トルコ人と互いに「同族」意識を持つ民族で、トルコは心情的に、あるいは政治的な方便から、トルクメン人の「保護」をしばしば持ち出します。介入、代理戦争も始まりかねないのです。
このあたりにそう簡単に国境線を引くことはできないので、サイクス・ピコ協定は、相対的には「いい線いってた」方策とも言えるのです。