【寄稿】ミュンヘンに到着するシリア難民の足取り

先月の末に、ミュンヘンで、日本の官民の中東関係者が年に一度集まる会議に読んでもらったので、行って話をしてきた。近年は湾岸産油国やトルコのイスタンブールなどで行ってきたのだが、今年はミュンヘンとなった。もちろん安全懸念への配慮からである。

私はここのところ、チュニジアに行くとその後テロが起こり、湾岸産油国に行くとその間に湾岸産油国の隣国でテロが起こるなどの偶然が相次いだので、「私が帰ったら今度はミュンヘンでも何か起こるかもしれませんよ」などと冗談を言っていたら、事件どころか中東問題そのものがミュンヘンに押し寄せてきてしまった。ハンガリーでの足止めを突破して、オーストリアを経由してハンブルグ中央駅に到着する

欧米にいっても、中東の人間が立ち回る場所やルートを自然に辿ってしまうのが中東関係者の宿命なのだろうか。シリア難民が経由するウィーン西駅などは、トランジットの際の定宿にしていた安ホテルがあるなど、馴染みがある。移民が行き来するところに私も足が向かってしまう。

そんなことをつらつらと、『フォーサイト』の「中東の部屋」に書いてみた。

池内恵「ミュンヘン中央駅に到達するシリア難民」『フォーサイト』《中東の部屋》2015年9月8日