昨日12月19日(金)に、私も参加させていただいた、「2015年版PHPグローバル・リスク分析」レポートが公開されました。
PHP総研のウェブサイトから無料でダウンロードできます。
2015年に想定されるリスクを10挙げると・・・
リスク1.オバマ大統領「ご隠居外交」で迷走する米国の対外関与
リスク2. 米国金融市場で再び注目されるサブプライムとジャンク債
リスク3. 「外国企業たたき」が加速する、景気後退と外資撤退による負の中国経済スパイラル
リスク4. 中国の膨張が招く海洋秩序の動揺
リスク5. 北朝鮮軍長老派の「夢よ、もう一度」 ―核・ミサイル挑発瀬戸際外交再開
リスク6. 「官民総債務漬け」が露呈間近の韓国経済
リスク7. 第二次ウクライナ危機がもたらす更なる米欧 -露関係の悪化と中露接近
リスク8. 無統治空間化する中東をめぐる多次元パワーゲーム
リスク9. イスラム国が掻き立てる先進国の「内なる過激主義」
リスク10. 安すぎるオイルが誘発する産油国「専制政治」の動揺
という具合になりました。果たして当たるでしょうか。
なお、1から10までに、「どれがより危険か」とか「どれが起こる可能性が高いか」といった順位はつけておりません。論理的な順序や地域で並べたものです。
このプロジェクトには2013年度版から参加させていただいており、今回で3年連続です。毎年10のリスクを予測して、長期間続けて経年変化を見ると、その間の国際政治・社会の変化が感じられるようになるのではないかな。中東・イスラーム世界関連は大抵2個半ぐらいの席を安定的に確保。中東関連に2つ割り当てるか3つ割り当てるかで毎回悩むところです。中東問題が拡散して、世界の問題になると帰って項目としては減ったりする。アメリカの外交政策の問題として別項が立って、その項目がかなりの部分中東問題であったりするわけですね。別に他の分野とリスクのシェアの取り合いをしているわけではありませんが、他の項目や全体とのバランスで毎回悩むところです。
(2014年度版についてはこのエントリなどを参照してください)
年明けにはEurasia Groupが恒例のリスク・トップ10を発表して話題になるので、その前に出してしまおうというのが当方の戦略。二番煎じのように見られると困りますからね。
Eurasia Groupの2015年版がでたら、ぜひそれとの比較もしてみてください。
リスクが高そうな分野の専門家が集まってリスクを予測しているうちに、年々本当にリスクが顕在化していくので全員がいっそう忙しくなり、皆死にそうになりながら、年末になると集まって議論をして文章を練っています。今年は特に、私も緊急出版の本の入稿とかちあったので、大変な思いをしまして他の専門家の方々にひたすら助けていただきました。それでもいくつも私の論点を取り入れてもらっています。取りまとめをして引っ張っていってくださった皆様、ありがとうございました。
こちらは本一冊の原稿や校正を戻したものの最後の詰めが残っており、もう一冊の共著もヤマ場に差し掛かり、さらに、ここ数年、一番力を入れてきた著作を、年末年始に脱稿せねばならない。
というわけで面会謝絶・隠遁生活の年末が始まります。