出ました。
池内恵「アル=カーイダの夢──2020年、世界カリフ国家構想」『外交』第23号、2014年1月、32-37頁
「2020年東京オリンピックに向けて」ということで、「2020年に日本は世界はどうなっているか~」的なおざなりな(失礼)企画がメディアの各所で一巡したように思う。
そんな中で、「2020年の中東と国際秩序」というようなざっくりとしたイメージでの依頼を受けて、それに対して表面的には全く異なるテーマで寄稿したもの。
最近よく議論している、米国の覇権の希薄化による中東秩序の流動化・・・といった話を期待されたのかもしれないけれど、同じ話を何度もやって稼ぐのは私の流儀ではない。
むしろ、グローバルなイスラーム主義勢力の側は、2020年における世界をどのように構想しているのか。これについて、世界の中東専門家の間では話題になっている話を、ぜひ今一度考えてみるべき素材として、紹介した。
元ネタは2005年にヨルダンのジャーナリストで、アル=カーイダに関わったテロリストたちと一緒に政治犯の刑務所に入っていたフアード・フセインという人による調査報道。
『クドゥスル・アラビー』というロンドンのアラビア語紙に長々と連載されたこの分析記事によれば、2005年ごろまでに、ビン・ラーディンより若い「第2世代アル=カーイダ」が現れており、その代表格が、イラクで宗派紛争に火をつけることに「成功」したザルカーウィー。
彼らが思い描く、2020年に実現したい、実現するであろう世界とはどのようなものか。フアード・フセインはこれを詳細に紹介してくれている。
それによれば、2000年から2020年までの間に、グローバルなジハード運動は7つの段階を経て発展すると構想されているという。そして、第4段階の2010年から2013年にかけて、ジハード運動は「復活と権力奪取と変革」の時期に入る、と2005年の時点で予見されていた。
なんと、アル=カーイダの第2世代たちは、2010年から2013年にかけて、次々とアラブ諸国の政権が崩壊する、と見通していたというのである。「諸政権は、正当性と存在意義を徐々に失っていく」。
これは「ノストラダムスの大予言」のような、後になってから「実はこの部分がこれを意味していた」的なことをほじくる話ではなくて、実際に2005年に、世界中で読まれているアラビア語紙に大々的に連載されていて、「アラブの春」以前にも言及・論評・分析の対象になっていた記事の中に書いてあったことであり、私は単に紹介しているだけである。
(なおアラビア語が読めて根気が良ければ、元の記事をインターネット上で無料でダウンロードして読むことも可能です)
それでは2014年以降、2020年までの間に何が起こると、アル=カーイダの若手世代は考えていたのか・・・・
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