なぜアラブ世界のリベラル派はふがいないのか。政治基盤がないにもかかわらず、影響力や発言力はある。それはある種の「支配」と言っていい。しかし肝心な時になると頼りにならず、特にムスリム同胞団など大衆的なイスラーム主義が伸長してくると、軍の暴力にすがる。リベラル派は肝心な時にリベラリズムを放棄する。
「少数ではあるが、自由主義者は大なり小なり現代のムスリム世界を通じて、少数者支配に近い地位にある。もし自由主義者がそれほど強いものなら、なぜ自由主義は弱いのだろうか。」W・C・スミス(中村廣治郎訳)『現代イスラムの歴史』(上巻、中公文庫、109頁)(2013年8月26日)