2015年初頭の段階で、「イスラーム国」のイラクとシリアでの領域支配は拡大一方だったことを前回に示しましたが、その結果としての最大版図はどれぐらいだったか。
ここではニューヨーク・タイムズ紙のよく使われている地図を示しておきましょう。2015年の5月段階のもの。出典は、以前にも参照した、”How ISIS Expands”というウェブ版の特設ページです。
“How ISIS Expands,” The New York Times, May 21, 2015.
前回までの地図と異なり、「イスラーム国」の支配領域のうち、住民がほとんどいない地域を白抜きに塗る慣行が、どうやら2015年の前半に定着している様子があります。
また、この地図では「イスラーム国」だけを塗っています。
ここに、イラクとシリア両国でのクルド系勢力の台頭や、トルコによるそれに対する警戒・反発とシリアとの国境地帯への飛行禁止区域の設定の要求、イランの革命防衛隊の将官や兵士たち、レバノンのシーア派民兵組織ヒズブッラーによる部隊の投入、等々、様々な主体が錯綜する様子が、この地図の上に描かれていくことになります。